第69章 【逆ハールート】花見
しかしながら、恋人達の事を考えて有休をとった事も事実。
もし、もしも!何かあった時の為に3日間の連休を取ったと言うのも実は嘘ではない。
「いい事思いついたー!! なぁ、ナス子! 明日家に泊まりに来いよっ」
「はぁ?」
さも名案を思い付いたかのようにおそ松が鼻の下
をニヤつきながら擦る。
その様子に悪い予感しか浮かばないのだが、以前と違い今は自分の想い人の一人だ。
まだおそ松とは喧嘩もするが、誘われて悪い気はしなかった。
「うん、いいんじゃないかな♪ ぼくも賛成! 明日は母さんに料理を教えてもらうといいよ! そしたらどんなに残念なナス子姉さんでも食材をムダにする事はなくなると思うしっ」
「お前はほんっとーにいつも一言余計だなコノヤロー!」
へへっと可愛い感じに提案するトド松の落とし台詞も健在だが、さすがにこの年齢にもなってマトモな女性らしい事が出来ない自分はそろそろちゃんとしなくてはならないのだろうと今更思う。
本当は凄く面倒臭いし、出来る事なら好きな事だけして毎日楽しくダラダラと平和に過ごしたいナス子であったが、なんたって恋人は松野家の六つ子である。
この六人と付き合って平穏と言う言葉など既に存在しない事を恋愛以外の関係になる前からも思っていたナス子。
余計に今は気が休まる事などなく、平穏などと言う文字とはかけ離れてしまっている事も、ちゃんと気づいている。
「姉さん! 遊びにおいでよ!! 泊まりに来るの久しぶりだよねっ!?」
「あー、そっか! 確かその時はアンタらが私に褒め薬を飲ませた時か…………はぁ、思い出すだけで殺したくなる」
「ちょっと、物騒な事言わないでくれない?! お前だって仕返ししてきたんだからもうよくないかな!?」
思い返せばそうだ。
やられたらやり返す、出来るのならば倍返しにしてやりたい。
いくら彼氏が相手と言えどやはり幼馴染は幼馴染なのだ。
変わっていく関係もあれば、変わらない関係だってある。