第10章 秘密 一松side
外からドタバタと言う足音が聞こえて
<ゴンっ>
っと玄関からデカい音が鳴った。
一瞬音にビビったけど、玄関を見ると勢いよく扉が開き、主が帰ってきたのを確認する。
「った、ただいまミケ子~~~~~~~~~~~~~っっっっ」
そんな大きな声出さなくても動物は耳がいいんだから聞こえてるっての。
ていうかなに、俺には何の挨拶もなしないわけ?常識的にどうよこの女。
「・・・おかえり、デコ赤いけどぶつけたの? バカだね」
「一松、も、たっただいま・・ははは、急いでたら勢い余ってぶつけちゃって!
はぁ、はぁっ、遅くなちゃって、ごめん! ミケ子を見ててくれてありがとうねっ・・・ぜぇぜぇ・・・」
とってつけるようにお礼を言われたがちゃんと言えたから許してやってもいい。
息遣いを見るに全力で走って帰って来たようだ。
「そんな走らなくてもいいのに、また転んでも知らないよ? ってもう頭ぶつけたね。
馬鹿がもっと馬鹿になるんじゃない?」
「余計なお世話だってのー、馬鹿だけど馬鹿じゃないっしっ!!!
と、とにかく、はや、く、ミケ子に会いたくって・・・はーーーーっ」
一度大きく息を吐くと、俺からミケ子を受け取りナス子は猫を抱きしめた。
そのミケ子も嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしている・・・可愛い。
あ、可愛いのは猫であってナス子では決してない。
「何か変わった事とかなかった? 大丈夫??」
「ん、ちゃんと大人しく遊んでたから大丈夫・・・ご飯もちゃんと食べた」
言いながら俺はネズミの玩具をフリフリする。
またミケ子の目が光った。
「あらら、また玩具買ってきてくれたの?! 一松のお陰で遊ぶものいっぱいあるねぇミケ子~♪」
そう言うとナス子はミケ子の口にキスした。
・・・・・・・・・・俺もさっきそこにキスしたばっかなんだけど。
まじか、間接キスとか最悪じゃん。いや、カウントしなければいいだけの事か。ノーカン。