第10章 秘密 一松side
<一松side>
みゃぁ~
「よーしよし、ミケ子・・・今日はネズミがついた玩具持ってきた」
俺はナス子に頼まれ朝からコイツの家でミケ子と留守番。
誰もいない二人の空間が心地いい。
少しだけいつも煩いアイツがいないとちょっと静かすぎるかなとは思うけど・・・。
手に持ってる玩具をネズミの動きに似せて動かしてやると、ミケ子は尻を振って目的の玩具に飛びついた。
あぁ、癒される。
ナス子はなんだか今日は?十四松と二人で出かけるらしい。
本当は一緒にミケ子を連れてこうとしてたみたいだけど、山とか行くって言ってたし、ミケ子にはまだ早いと思って俺がここで面倒を見る事を申し出た。
夕方には帰るとか言ってたけど、ごゆっくりと返して見送った。
まぁ、この家のスペアキーは俺が持ってるからね。
いつでも出てけるし、また入って来れる。
適当に寛いでいいとも言われてるから自由にやってる。
スペアキーをクソ松と一緒に使えとか言われたけど、あれから鍵は俺が持ったまま。
別に渡す必要なんてないでしょ。あんなヤツなんかに・・・。
何度かクソ松にナス子の為に渡してくれとか頼まれたけど、俺には関係ない。
ちなみにナス子はこの事は知らない。言う必要もないでしょ、クソ松が来れない事なんて。
来ようと思えばナス子がいる時に普通にくればいいだけだし。
ナス子がいいって言うから、冷蔵庫の中の物で適当に昼飯を済ませて今は夕方に差し掛かる。
そろそろアイツが帰ってくる時間。
俺はずっとミケ子と遊んだりTV見ながら二人でじっとしてた。
やる事はあまり家にいる時と変わらないよね、これ。
家の中と少し違うのは部屋が散らかっている事くらい。
でもナス子の部屋はいつもこんな感じだし、俺は気にならない。
逆に綺麗すぎるよりは若干落ち着くんじゃない?
膝の上で俺の胸に頭を擦り寄せるミケ子を撫でる。
「・・・そろそろ帰って来るよ、多分」
俺をクリクリした目で見上げているミケ子に少し笑顔を向けてやる。
その方が安心するでしょ?