第69章 【逆ハールート】花見

　残るはおそ松と十四松だが、この二人は特に文句を言うことなく、美味しそうにおかずを頬張りながら、二人して肩を組んでビールを飲みあっている。

「んまー！ 姉さん！ ウインナーめっちゃ美味いよおー！！」

「ウインナー！ ウインナー！ あれ？ どしたのお前ら、微妙な顔して」

　ハテナマークを浮かべて兄弟達の顔を見るおそ松に、十四松以外の兄弟がジトリとした視線を向ける。
　そして四人で顔を合わせると、なにやら納得がいったという表情で各々が頷き始める。

「あーなるほどねぇ……ウインナーならどう調理してもウインナー意外になることはいくらナス子姉でもないもんねぇ……そっちだったかぁ」

「これはあの馬鹿二人の勝利だね。まぁ何も考えずに、ただウインナーが食べたかったからそれを選んだんだろうけどさ」

「……これも一種の戒めだと思えば、俺は耐えられる……」

「あー……とりあえず、皆でウインナーを食うことにするか」

　そんな六つ子たち全員のやり取りを、ただ黙って見ていた人物が一人。

「…………フッ、なるほど」

「いや、なるほどじゃねぇよ！　お前はいつからカラ松になったんだ」

　安牌であるウィンナーに手をつけビールを片手にチョロ松が突っ込む。
　手作り弁当を食べたいとは言ったものの、正直悪い予感しかしていなかったチョロ松は若干だけ落胆したが、すぐにフォローへと取り掛かる。

「あの、さ！　気にする事ないよ？　ほら、ナス子も仕事終わりで疲れてただろうし！！　このサンドイッチも寧ろ食材の味をモロに感じさせてくれるテイストだと思えば……」

「うぐぐぐ、わかっている！　わかっているさぁ！　だから料理なんてしたくなかったんだよぉ～っ、でもなんか悔しいんだけどぉおおお」

「料理ですらないけどね」

　さすがトド松、ドライモンスター。