第69章 【逆ハールート】花見
「はい、じゃあどうぞ。さっきも言ったけど、味はまったく保障しないんだからねー!」
若干ツンデレ気味にそう言って重箱を並べて開けると、四方八方から我先にと手が伸びてきて、各々気になったおかずを箸で取っていく。
「「「「「「 いただきまーす! 」」」」」」
六人がパクリとそれを口に含む、ああは言っても感想が気になるナス子。
少し緊張しながら、咀嚼をする六人の顔色を窺っていると、皆の顔色がみるみる悪くなる。
「……ねぇ、ぼくさ、今卵焼き食べたつもりだったんだけどぉ………ジャリジャリするししょっぱいしで、新食感にもほどがあるんだけど?!」
先発を務めたのは末弟トド松。
口の中の物を流し込むように片手に持っていた紙コップの中のビールを一気に煽る。
「俺はおにぎり……なんだけど……なんか、米っていうか、餅みたいな食感なんだけど……硬いし」
まだ口の中で咀嚼しきれないのか、むぐむぐと口を動かしながら一松がそう言うと、同じく手に持っていたビールでなんとか餅と化した米を分解しようと頑張っている。
「ねぇ、ちょっと……このサンドイッチほとんど味がしないんだけど……もしかしてマヨネーズ塗り忘れてない?」
一口齧ったサンドイッチをぺろりとめくり中を確認するのはチョロ松。
指摘の通り、中にはハムとレタスが挟まっていたが、マヨネーズなどの調味料は塗られておらず、素材の味が楽しめる仕様となっていた。
「ふっ……ナス子、この唐揚げ……冷凍食品を使うのはいいんだが……全然解凍されていないぜ。凍った唐揚げか! ハハーン! レボリューションっ……だなっ」
なんとか噛めるほどには解凍されていたようだが、氷のように冷たい冷凍食品の唐揚げを飲み込み、口の中に残る水分と冷たい脂の不快感を流し込むためにビールを煽りつつも、カラ松らしさは失わないのはさすがと言えよう。