第69章 【逆ハールート】花見
「おそ松兄さん、少しはナス子を休ませてやれば? 昨日仕事だったんでしょ? えーと……変な頼み事して、悪かったよ」
「いやぁ、まぁチョロ松も知ってるとは思うけど私苦手ですからね! だからほんっとに味とか保障しないから!!」
「フッ……こんなチェリーブロッサムの下で飲む酒と愛するナス子の手作り弁当を食べるのも悪くないな……フフフーン、作っている時は俺の事を考えてくれていたんだろぅ?」
サングラス越しからキラリと目を光らせて言うカラ松は半ばそわそわと目的の物に視線を移す。
「いや、寝たいと思いながら作ったからね! てか作ってる途中ほぼ意識失いかけてたからっ! だからこそ味の保証も出来ないし、彼女の愛情たっぷり~な愛情弁当なのかすらも謎よこれ?」
「……実際彼女が作ったもんなんだし、愛情弁当でいいんじゃないの?」
「姉さん、ボクもうお腹空いてきたー!!」
聞いている通りだが、先日この花見に誘われた時の事。
花見に行くにあたってどうしても彼女の手作り弁当が食べたいと我儘を言う兄弟……恋人達にタジタジになりながらもNOと言えないナス子はしぶしぶに了承した。
しかし、普段から家事掃除洗濯は大の苦手なナス子。
なんとかクッ〇パッド先生のお力を借り作ってみたのだが、仕事終わりに作った為か眠さはピークで、分量など何も見てはいなかった。
正直形がなんとかなってれば誤魔化せるだろう、相手は六つ子だし。
などという甘えもあり、よく漫画やドラマで見るような甘い雰囲気での愛情弁当作りには一切ならなかった。
というか、七人分の弁当を用意するのはとても骨が折れた。
重箱に詰め込んできたものの、その量は多くもう二度と作りたくないくらいだ。
家族を沢山持つ母親が子供の為にお弁当を毎日作っている様を想像すると心から尊敬できる。