第69章 【逆ハールート】花見
春、それは恋の季節。
昼下がり。
ナス子は幼馴染兼弟、そして……恋人でもある松野家の六つ子達と花見に来ていた。
紆余曲折を経て、ナス子と晴れて恋人となった六つ子達。
まさか好きになってしまったのが全員と言う信じられない事態にナス子本人も混乱していたのだが、あれがああなって、ああ展開して、こうなるなんて……。
誰が予想がついたであろうか。
溜息が出てしまうも、共にいる恋人達が愛しいと思う気持ちは変わらない。
なんて欲深い女なのかと未だ自己嫌悪にも陥るが、いつかはこの中から一人選ばなくてはいけないと思うと胸が苦しくなる。
だが、今はそれ以上に今を楽しみたいとも思った。
ちなみに今は公園にある桜の大きな木の下にシートを敷き、六つ子は酒を煽り上機嫌だ。
こんな時、自分も一緒に酒が飲めればもっと楽しいんだろうなぁと思うが酒に飲まれることで自分が変わってしまう事を知っている為、絶対に飲む事だけはしないと心に決めている。
そして、こいつら六人から渡される飲み物すらも厳重に注意をしながら飲む!と言う事を学習していた。
「あ━━━眠い、寝たい……」
酒の席で楽しく騒ぐ兄弟達を尻目にシートに横になると、隣の人物が絡んでくる。
「んだよぉ、まだ花見は始まったばっかだろぉ? ここ来てまでそんなグータラしてどうすんだよ~! 来たなら花見ろよ花ぁ!!」
「そういうおそ松だってぜんっぜん桜見てないよね? あんた花見を名目に酒飲みたかっただけでしょ?!」
「へへへ、あったりぃ~! いやぁ、さっすが俺の彼女! わかってるねぇ~、なははははは」
おそ松も既に出来上がっているのだろう。
酒で顔を赤くしてご機嫌に笑うとまたビールを飲みだした。