第68章 【番外編】おっちゃん
「それにしてもいいなー、いいなー!! もう成人越えの大人達と言えど恋愛ってのは甘酸っぱいよねぇ、おっちゃんも恋愛したいなぁっ」
6人を見回しこぼれてくる笑みを漏らさずにこにこと体を揺らす。
はしゃぐ姿は見た目はナス子、中身はおっちゃんと言えど少し子供のようにも見えた。
「あははー、おっちゃんは好きな人いなかったのお?」
スカートを履いたおっちゃんは躊躇いもなく胡坐をかき、その上に頬杖をつく。
スカートの角度でなんとか死守されている下着はいつ見えてしまうかと6人はドキドキしているが、中身はおっちゃんだと言い聞かせ自分の気持ちを落ち着かせる。
「え、おっちゃん? おっちゃんにも好きな人はいたよぉ、これまたビックリな話……おっちゃんもさぁ、幼馴染の女の子に恋をしてたんだよねぇ!」
「へぇ、僕はまだ完璧に認めてはないけどおっちゃんは僕達と同じで幼馴染の女の人に好意を抱いてたんだね?」
「はぁー、素直じゃないなぁ、緑の兄ちゃんはー!! そんな事やってると俺みたいに結局片想いずーっとこじらせて一人になっちゃうよ~?」
「俺みたいに、って事はおっちゃんはその子に自分の気持ちを伝えなかったの? しかもずーっと? ……あぁっ!!それで童貞って事ぉ?! うわ、一途~……よく我慢出来たよねぇ」
トド松の推理におっちゃんは顔を顰めてしまい口ごもって赤くなっていく。
しかし見た目は自分達の想い人である為か、6人までもがつられるようになってしまい、脈が速くなって俯いた。
「お、お前らだってもう20代は越えてる男だろ? おっちゃんの事童貞って言うけどお前らだって童貞じゃねぇの!!」
「はぁ?!俺達まだ童貞だって言ってないのになんでわかるのぉ?!」
「━━━━━━え、だってこの姉ちゃんの記憶が教えてくれるし」
「「「「「「はぁ……」」」」」」
ナス子の心とリンクしていて、先程まではおっちゃんのその繋がりが便利だと思っていた松達であったが、童貞な記憶やらを読まれるとそれはそれで心底嫌だと思う単純な6人。
落胆した6人を尻目におっちゃんはまたナス子の記憶を勝手に覗く。
何か面白いネタはないかと好奇心で探っているようだ。