第68章 【番外編】おっちゃん
「そこの尾崎な兄ちゃんは………あ〜、なんつー都合のいい事を…」
「え?」
「あんた優しいんだなぁ、この姉ちゃんも日頃からアンタの存在に感謝してるみたいだぜ? ファッションセンスとイタイ? 発言だけ抜かせばカッコイイって思ってるみたいだなぁ、良かったなぁ兄ちゃん!」
キョトリとしたカラ松だったが、おっちゃんの言葉を聞いて口を噤み赤い顔をさせて何故か涙目にまでなってしまう。
こんな台詞、生まれてこの方あまり言われた事もないので感極まった状態になっているのだろう。
潤んだ瞳を袖で拭き、ブンブンと縦に首を振る。
「そっ、そうか……シス、ナス子は俺の事をそんなに頼りにしてくれていたのかっ! カッコイイ俺にまで気づいていたとは、早く口に出して言ってくれればいいものを、とんだシャイガールだぜぇ! ハハーン!」
「は? カラ松兄さんがカッコいい? ちょっとナス子姉趣味悪いんじゃない!? どっからどうみてもただのイタイだけの空っぽ兄さんなんだけどっ!」
頬を膨らませ少し拗ね気味に言うトド松におっちゃんが宥めるように声をかけ、今度は十四松の方を向く。
「まぁまぁ、ピンクの兄ちゃんもそう拗ねるなよぉ! 兄ちゃんのいい所だってこの嬢ちゃんはちゃーんとわかってるみてぇだし、可愛いって言ってるぜ?……んで、そこの座敷童、じゃなかったえーっと……」
「十四松だよ!!」
「あぁ、十四松って言うんだなアンタ! 姉ちゃんの中の記憶は誰よりも元気で優しくて、この嬢ちゃんを心配してくれたり欲しい言葉を言ってくれたりするヤツって思ってるみたいだなぁ……、兄ちゃんそんな見た目なのに結構しっかりしてる所あんのかな? ん? んーーー? わはは、この姉ちゃんを元気付けるの上手だなっ」
「ほんとー!! ぃやったーーー!! ボクも姉さんといると元気になれるよっ」
「あ、でも十四松と言うジャンルと、いつもダサイって言ってくる事に関してはぶん殴りたいって……」
「えー!?! ん~、ボクそんなにダサイって言ってたかな?」
日頃何も考えずに出されている言葉に自覚などなく首を捻り不思議そうにする。
それぞれ照れてしまった6人を見てナス子INおっちゃんは優しく微笑んだ。