第68章 【番外編】おっちゃん
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暫くして小屋へと戻るナス子。
他の兄弟達はいなくなった事など気づかず酒瓶の中身を全て飲み干していた。
「……っはー!! 生き返るっ、昼間に飲む酒はサイッコーだなぁ!!」
「ハハハ、そうだなおそ松! お前が言わなかったら絶対に飲まなかったが十四松とおそ松のお陰で美味い酒が飲めたぜぇ」
「最初は怪しいと思ったけど、やっぱ本能には逆らえないよねぇ~……もう少し飲めたら嬉しかったけどさ」
「ところでこれ何の酒?」
「わからん」
「ふふ、でも美味しかったからいいんじゃなぁーい?」
「あ、姉さんも飲みたかった?!」
陽気に話す6人だが、扉の前に立っているナス子にやっと声を掛ける。
「……………お前ら」
「ん?なんだよナス子、何怒ってんだよぉ?」
「お前ら何?! 6人同じ顔して俺の酒勝手に飲んで俺の小屋で一塊になって何してる訳?! おっちゃんの唯一の楽しみ奪ったな、オイ!!!」
「「「「「「━━━━━━━━━━は?」」」」」」
急なナス子の変貌に驚きを隠せない六つ子は陽気な気分から一転しポカンとその人物の顔を一点に見つめる。
「つか、もしかしてお前らお化け? お化けなの?! 6人おんなじ顔って……おっちゃんビックリしたんだどぉ?! もしかして妖怪の類かなんかなのっ?」
「え、えっと……ナス子? どう、したの? おっちゃんって……?」
今まで見た事のない幼馴染の様子を見ると、いつも突っ込みを担当しているチョロ松もさすがに突っ込むまでは出来ずに口を引くつかせ様子を伺う。
「ギャ━━━━━━━━━━!!!! 話かけてきたっ、なんかよくわからない同じ顔の中の緑色の何かに話しかけられたあぁああああぁ、怖い!!怖いよぉおおっ」
「はぁ?!! 何言ってんだよナス子、ていうか緑色の何かとか新しい呼び名つけるのやめてくれない?!」
「うわわわわ、おっちゃん怖い! おっちゃん死んじゃうっ……こ、殺され……あ、おっちゃんもう死んでたー!! あははははは」
これはどう見ても明らかにおかしい。
おかしいのは元々だが、さすがに言動も行動もいつもと違う。