第68章 【番外編】おっちゃん
「まぁまぁ、別にいいんじゃない? ただの酒だよ、酒、飲めるやつなら俺らもちょっと貰っちゃおうか……ひひ」
「ここで悪い顔出すのやめてくれる?! 小屋の雰囲気も混ざって怖いんだけどぉ?!」
「しかしなぜこんな所に一つだけあったんだろうな? もしやこれは罠なのか?」
「またカラ松は意味深な事言ってー!! 中二病発言は肋にも悪いけどちょっと私もトキめくからやめてよねっ」
「へ、あ?! と、トキめく?! 中二病??」
ナス子のトキめくと言う言葉に反応してしまいカラ松は無自覚に顔を赤くする。
何を真っ赤になっているのかとナス子は思うのだが、気にせず今にでも酒を飲み始めようとする十四松から瓶を奪う。
「あっ」
「もー!! ダメっ、やめとこう? ね? あ、コラ、おそ松!!」
酒瓶を奪うがすぐにそれをまた横から奪われてしまう。
「も~、シラけさせんなよぉナス子!! 十四松も大丈夫って言ってんだしそれでいいじゃーん!! ほら、十四松っ」
「うんっ」
おそ松が酒瓶を十四松に投げ、それを見事にキャッチするとポンっと蓋を開けてゴクリと十四松は飲んでしまう。
「「「「「「…………」」」」」」
全員が、ゴクリと唾を飲み込み心配そうなメンバーと、酒が飲みたいだけのメンバーが見つめていた。
「……っぷっはー!! んまぁい!」
「まじ?! それ飲めるヤツだった?! ぃやった、ラッキー!! 俺にもちょうだーい!」
「うん、はい!!」
「おそ松……もしかして十四松に味見、させた? ただ飲みたいが為に罰ゲーム考えてたんじゃ……」
「え? なんの事ぉ? ………っぷはっ! 普通にイケル!!」
おそ松も口を付け他の松達もまたゴクリと唾を飲み込む。
この小屋に入ってから一口も水分などとっていない為もあり余計に喉も乾いていた。
呆れるナス子を余所に酒瓶の回し飲みが始まると、兄弟達はワイワイと楽し気に騒ぎだす。
この量では酔うまではいかないにしても気分くらいは楽しめるらしい。
「ほんと酒好きすぎる人って怖いわぁー……はぁ、トイレ行きたくなってきた」
騒ぐ兄弟を余所に、先後程十四松に言われた事など忘れナス子は扉を開けて外に出て行く。