第68章 【番外編】おっちゃん
途端に意識してしまうとチラチラと顔を見てしまう。
6人の視線にナス子はわからず首を訝し気に傾げると今日の自分の恰好がおかしいのかと気になりだした。
「ね、ねぇ、なんで皆私の事チラチラ見てんの? 今日の恰好おかしい!? もしかして気を使って言わなかったとか?! ………ハッ! 私がスカートとか履いてるから太い足して何やってんだとか思ってる?!」
「いやいやいや、そんな事思ってないよぉ! 今日のナス子姉は可愛いよ? スカートも似合ってるし!」
乾物の今日『の』という言葉は無視して、この中でも一番ファッションに気を遣う相手からのフォローに安堵の息を漏らす。
「そ、そっかぁー……か、可愛いとか言われると慣れないから恥ずかしいですな、ハハハー」
「可愛い、可愛いねぇ……? いくら見た目を可愛くしたとしても中身が残念なのには変わりないよね」
「チョロ松君は私に暴力振るわれたいのかな? よぅし、かかってこいコラ!」
「くく……そんな所が残念って言われてるんじゃないのナス子、俺は別に服とか化粧とかは気にならないけどね」
なんにせよ成長したとしても六つ子は六つ子。
おそ松だけでなく好きな子は虐めたくなるものらしくどうしても付き合いの長さとこの弄りやすいナス子に皮肉や悪態をつくのはやめられない。
「ボクはいつもはダサいとは思うけど姉さん可愛いと思うよ! ね、カラ松兄さんっ」
「え? な、何故俺に急に振るんだ十四まぁ~つ! お、俺は………あ、えと、いつものナス子も今のナス子も魅力的だと思うが……」
カラ松、この中ではまだ自分の気持ちが恋なのか理解していない人物の一人だ。
だが、ナス子の顔を見て目が合ってしまい、緊張が蘇りたどたどしく正直な言葉を吐く。
「十四松、カラ松……っ! お前達はなんって心の優しい良い子なのー!! お姉ちゃんはこんな優しい弟を持てて幸せだよぉ~っ」
「ハハっ、そ、そうか……良かった」
まだダサイを言う十四松だが、ニコリと笑って袖を揺らす。
一方すぐに視線を逸らしてカラ松は胡坐をパタパタとさせた。