第68章 【番外編】おっちゃん
「やる事小っちゃ!! それもう檻の前でただバナナ食ってるだけの人じゃん! あと他の猿にもそれ見せる事になるけど?!」
「親戚が檻の前でバナナ食ってるとか、また脱走して襲われても知らないよぉ、俺は~」
気温は熱くもなく湿気はあると言えど汗をかく程でもいないというのにおそ松は汗をかきながら横目に猿の親戚を見下ろす。
「おい、お前はまだ言うのか!! 私はカピバラに収まったんじゃないのか……って誰がカピバラだ!」
手に持つバナナをバックに戻しながらまたも茶化してくるおそ松に膨れ面を見せる。
見た感じではバナナを横取りされそうな猿にも似ていると、その場にいる兄弟達は思った。
とは言っても、自分達の想い人である事には変わりないので恰好は可愛くして化粧をしていても残念さの面影が見え隠れして溜息を漏らす。
「おのれらー! 同時に溜息つかないでくれますかぁ?!」
よくわからないヤバイ事から話題が変わってスッカリムードはいつもの調子である。
十四松も円に入り普段通りの顔に戻っていた。
「ボクもまたあの猿に会いたいなー! まだ決着ついてないから!!」
「いや、無理でしょ。 もう檻の中にいるんだから戦えないよ」
「えー! そうなのぉ?! ……へこみぃ~~~」
一松も普段通りに戻っている。
この場は布一枚の上に座り、ただの団らんの場と化していた。
真ん中に置かれた酒瓶だけは謎であるが誰もそれに触れようとはしない。
それよりも気になるのはナス子だからだ。