第9章 楽しいがいっぱい 十四松side
少し歩くと波の音が聞こえる。
「わー、海だー!!!」
「うん、ここ僕の秘密の練習場所だよっ」
前にボクが大好きだった女の子と出会った所、色々思い出しちゃうから暫くはここに近づけなかったけど今日は寂しい気持ちは何もない。
「凄いね、いい場所だー! 波ちょっと強そうだけど」
「ボクね、前にこの波に攫われそうそうになった事あるよー!」
寂しくはないけど、やっぱりボクはこの場所に来るとあの子の事を思い出す。
「えぇ、危ないじゃん! あんまり波の方に近づいて練習しちゃダメだよ?!」
「ダイジョーブ!!! あれからは一度もここには来てないからっ」
「そうなんだー、秘密の場所だしね。たまに来るのがいいのかも!」
あ、姉さんは色々ボクらの事知ってると思ってたけどあの子の話は知らないんだね。
兄さん達も黙っててくれたんだ。
どうしようもない兄さんとか思う時もあるけど、やっぱり兄さん達も大好きだなぁ。
「で、今日は練習するの?」
「あ、今日はバット置いてきちゃったから出来ないやー、探検ごっこに夢中になっちゃったからね!」
「あはは、そうだね! じゃぁ、ここで十四松が練習する時はまた今度見に来なくっちゃ」
「・・・・・そうだね、姉さんがいれば寂しくないよ!」
どうしても思い出す彼女の笑顔、一人では来れなかったけど姉さんがいれば大丈夫な気がするな。
だってこんなにニコニコ出来るもん。