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【おそ松さん】松野家と年上幼馴染(R18)

第9章 楽しいがいっぱい 十四松side



 二人で波打ち際に座って、海の音を聞いてる。
 いつもの河原の音も好きだけど、ここの音も好き。

 目を瞑って潮の匂いを鼻いっぱいに吸い込んでいると、姉さんが口を開く。

「海ってさ、人が帰る場所なんじゃないかってたまに思うんだよねぇ」

「へぇ???」

「ほら! 人間て元は海からきたとかいうじゃん?ご先祖様がどーのこーので」

「どーのこーの?」

「いや、私バカだから詳しい事は知らないんだけど、へへへ。でもこの波の音聞いてると、そんな感じがするんだよねぇ」

「んー、そうなんだ??? ボクわかんないや!」

「実は私も何言いたいのかわかんなくなったー」

「あははー、なにそれー!」

 また一緒に笑った。今日はいっぱい笑ってるなぁ。
 お互い手を伸ばして座ってたから、たまたま手の先っちょが姉さんにあたった。

「・・・」

「・・・」

 ボクは無言のまま姉さんの手を握ってみた。別に変な事は考えてないよ?
 なんだか姉さんが少ししんみりしてたから握ったんだよ?

「なんかあったの、姉さん?」

「ん? なんで??」

「んーっと、えーっと・・・わかんないけど、勘!」

 何かあったのと聞いた時、一瞬姉さんの目が揺らいだ気がしたんだよね。
 別に何もないんなら僕はいいんだけど、やっぱ姉さんは笑ってる方が似合ってるよね。

「うーん、何も、ないかな?」

「そうなの?」

 でも姉さんは僕の手を握り返す。

「何もないけど、何かあったら怖いなっていうか・・・」

 姉さんはたまに一松兄さんみたいに暗くなる時もある、今はそのモードチェンジに入っちゃったのかなぁ。

「十四松がいると、甘えたくなっちゃうね!」

「ほんと?!」

 思ってる事と違う事が返ってきてボクは嬉しくなった。
 今日何回嬉しいって思ったんだろ?

「ボクもね、姉さんといると甘えたくなるよー?」
「じゃぁ、一緒だ!」

 ふふふ、と満足そうに手を繋いだまま笑いあった。
 なんだろう、さっきから変な感じがするなー。

「・・・・・」
「・・・・・」

 そうしてまた二人で黙って海を見て、潮の匂いを嗅ぐ。
 こんな時間がボクにとって特別な時間だなって思った。

 姉さんもそんな風に考えてくれてたらいいなって、ちょっと思ったのは姉さんには秘密だよ?

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