第68章 【番外編】おっちゃん
狭い車内にいるのも狭苦しいので一度外の空気を吸うべく7人は外に出る。
よく見ると回りは木に囲まれており湿気が立ち込める。
霧のせいで回りも見えず、薄暗さがまた嫌な雰囲気を誘っているかのようだ。
「あー、やっと足伸ばせる~~! でも外寒っっ、スカートなんて履いてくるんじゃなかったあぁぁ、やっぱたまにお洒落なんてするもんじゃないよねぇ」
「そこは関係ないからっ、普段残念すぎる姉さんが今日はやっとマトモになったんだし普通の服を着る事を否定しないで?!」
「トッティ、それだと私は普段普通の服を着ていないと言う事になりますなぁ?」
「え?」
「なにその澄んだ瞳!! 目薬でも刺したの?! いっそ私の人差し指と中指も刺してあげようか」
「また危ない事を言うんだからぁ、女の子なんだから姉さんはもうちょっと性格も可愛くした方がいいと思うよ? そしたら少しはマシになるでしょ、ね?」
ドライモンスターがナス子に精神攻撃をしかけてくる。
しかしナス子はムカツくが正論に反論は出来ない。
口が悪く、すぐ手を出してしまい、態度も特に六つ子達相手だと悪くなってしまう為無言で睨むしかなかった。
「はー、ココやだなぁ」
黄色のパーカー袖を口にあてて十四松はキョロキョロと周りを探る。
すると一つの古い小さな小屋がボヤリと目に入り一松の服の袖を引っ張りそこを指さす。
「一松兄さん、あそこはどうかな?」
「あぁ? ………あぁ、大丈夫なんじゃない?」
先程からこの二人は何を感じているのだろうか。
「感じる、感じるぜぇ……冒険の匂いがする……っ」
「え、冒険?!」
カラ松のイタイ発言だが、冒険と言う言葉にナス子はワクワクしてカラ松を見た。
オタクな女子に冒険と言う言葉は甘美な響きに聞こえる。
少なくともナス子にとっては魅惑の言葉だという事で間違ってはいない。