第68章 【番外編】おっちゃん
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期待はやはり期待通り。
なんで自分はコイツの指示に従ってしまったのだろうかと愕然と肩を落とすチョロ松。
おそ松が自信満々に右左を言うのでさすがの馬鹿長男でもこれくらいは出来るのかと自分と長男を甘やかしてしまった。
出発から1時間以上走らせた車は今知らない場所に停車している。
「どこだよココ! いや、素直に従って運転してた僕も悪いけどお前どこに案内してんだよっ」
「え~? どこって動物園でしょ? 道こっちの方が近道じゃね? ほら、地図にもそう書いてあるし」
結果、山奥の霧がかった……、まだ午前だと言うにも関わらず薄暗い場所に到着してしまったのだ。
後部座席のメンバーは朝が早かった為か眠ってしまっていた。
誰もこのような場所につくとは思っておらず目を擦りながら車内から外の景色を見る。
「どこがだよ! 全く近道じゃないしどう見たって危ない道だろっ、道路狭いし変な霧出てるし暗いし!」
「なんだよ、だったら運転してたチョロ松だって気づいても良くね?!」
「うっ……そう、だけど!」
想像していた外の景色との違いにキョトンとする兄弟達とナス子だったが前の席で喧嘩をする二人を見て迷ったのだろうと容易く理解してしまう。
「ポンコツ兄達に任せたのは間違いだったね」
ボソリとナス子の隣に座るトド松が悪態をつく。
ウンコとポンコツな兄弟を持つ末っ子はスマホを取り出しナビを起動しようとしてみるが、スマホは圏外になっていて最早なんの役にも立たない。
「えー、圏外? 嘘でしょ!!? うわっ、ゲームも繋がらないんですけどっ」
「ナス子姉のもやっぱり圏外なんだ、ぼくのもだよ、全然繋がらないし……ここ電波悪いのかなぁ」
やっても意味がないとはわかりつつも手に持つスマホを振ったりしてみる。
とても意味がない行為なのだが、やってしまうのは何故なのだろうか。