第68章 【番外編】おっちゃん
「……ねぇ、この車さ……見覚えあるんだけどもしかしてあの時の車?」
一松が運転席に近づき車を見ながら話しかける。
全員がその車の面影にウンウンと頷いた。
「そうそう、レンタカーのお店行ったらさ、またこれだよ!! 他の手頃な車は貸出中だとさ~、せめてちゃんとしたナビついてる車が良かったんだけどねぇ……残念」
「って事はまた僕が助手席で地図見なきゃいけないって事だね、あ、でも運転手がナス子っていうのは危ないから僕らが代わるよ」
「何度も言うけど私だって運転くらい出来るってばー、仕事の日は毎回運転してるし! 寧ろアンタ達より頻繁だと思うんだけど」
有無を言わさず運転席の扉をチョロ松が開く。
ナス子自身運転をしたいと言う訳ではないのだが、こうも自分の運転にケチをつけられると納得はいかない。
しかし運転しなければスマホを触れる、ゲームも出来ると考えるとすぐに席を降りる。
「し、仕方なく運転譲るだけだからね? べ、べべ、別にゲームしたいからとかじゃないんだからっ、勘違いしないでよね!」
「そこでツンデレる意味がわからないんだけどっ?!」
結局、またしてもチョロ松が運転席に座り、助手席は誰かと言う話になる。
自由にしていたいナス子とトド松は既に後ろの席に乗り込んでいく。
そこについて行くように十四松も乗り込み、3人はチョロ松の相手をする助手席という拷問から逃れる事が出来た。
「ならば俺が━━━━━」
「お前は後ろね、カラ松」
目を細めたチョロ松がすかさず後ろを指差し乗るようにと合図する。
カラ松は運転すると迷子になるし地図を読ませても意味のわからないイタ語を使うので欠落。
だが、残る二人と言うともう長男と四男しかいない訳で……、チョロ松は瞬間におそ松はダメだとだいたい当たりの予想で長男を選択肢から外す。
「…………え、俺?」
「もう一松しかいないから」