第67章 【R18】【一松ルート】一松は猫が好き
すっかり日も暮れた時間。
未だ床に座って向かい合うナス子と一松。
「……ダメ? どうしても……?」
「あのね一松……私だって一松のお願いは出来る限り聞いてあげたいよ? お金は渡さないけど」
「なんでそんなに頑ななわけ? 別にこれ着て町内を歩けって言ってるんじゃないんだからさ……俺しか見ないんだから」
「そ、それはそうだけどっ……はっ、恥ずかしいじゃん!! こんなん!!」
二人の間に挟まれて肩身が狭そうにしているミケ猫のコスチュームの上では、ナス子の愛猫である本物のミケ猫ことミケ子が丸まって寝てしまっている。
「ほら……ミケ子も気に入ってるみたいだし」
寝ているミケ子の頭をちょいちょいと撫で、ふっと笑みを零す一松に、ナス子は絆されそうになる自分の脳を必死に鼓舞する。
「でも、やっぱり………ほ、ほら、私太ってるし……似合わないと思うんだよね! うん! こういうのはさ、スラ~っとしてる子が着るからこそ興奮すると思うんだよ!!」
「いや? 確かに他にも似合う女は沢山いると思うけど……ナス子が着るからこそ興奮するんだよね……俺は」
「っ……だ、だがしかしっ……っ入らないかも!! 破けちゃうかもしれないよ?!」
「………ああ……なるほどね」
「え?」
ここで、一松がニヤリといつもの笑い方を見せる。
何か悪いことを、いや、自分にとって都合の良いことを思いついたときの表情だ。
それを見て、ナス子の顔から一筋の嫌な汗が流れる。
「い、一松……?」
「破けちゃうかも? ああそれは大変ですよねぇ……でもそれって、試着してみないとわからないですよね? 入らなかったり破れたりしたら俺も潔く諦めるからさぁ……」
なんということだ、墓穴をほってしまった。
してやったりという目でナス子を捕らえる一松は、一歩も引く様子を見せない。
そろりと正座した膝の先にあるコスチュームに目を向ける。