第9章 楽しいがいっぱい 十四松side
「一応、これ。出来た、けど・・・下手だからね?」
オズオズと差し出してくれたノートにはボクの顔が描いてある。へぇ、ボクってこんな顔だったのかぁ!
絵の具で描いた時の顔とは全然違うやーっ
「凄い、凄いよ姉さん! 嬉しいなぁ、これもらっていい?!」
姉さんの作品に嬉しくなってボクの顔が描いてあるページを指さす。
「えぇ?! でもこれ急いで描いたやつだし・・・今度家で描きなおしてくるから」
でも、ニコニコ描いてた姉さんの顔を思い出すと、僕はこれが物凄く欲しくなった。
だってボクは目の前で姉さんに描いて欲しかったから。
「ううん! これがいい、ちょうだい!!!」
「えぇっと、十四松が本当にこれでいいなら別に私は構わないけど・・・」
そういうと姉さんはペリペリと僕の顔が描いてあるページだけを剥がし、四つ折りにして紙を渡してくれた。
「えへへ、やったぁ~♪」
もう一度ボクの絵を見て、ボクが凄く楽しそうな顔をしてるのがわかった。
ふむふむ、姉さんにはボクがこう見えてるんだね!
もう一度紙を4つ折りに戻し、僕は大事にポケットの中に紙を仕舞った。
「十四松の場合ポケットに入れたままにしてそのままそれ洗濯されそうだけどね!」
ボクの行動を予想してクスクスと笑われる。
「たしかに!」
それはボクも言われてそんな気がした!でもそうならないよう、家に帰ったらちゃんと大事にしまっておかなくちゃー。
「よーっし、お絵かきは終わりっ! 今度は十四松の秘密の練習場所に案内してよ♪」
立ち上がった姉さんは膝についた土をポンポンと払うと、僕の方をニッコリ見た。
姉さん、今日は一段と楽しそうに見える。