第66章 【チョロ松ルート】ステップアップラヴァーズ
「早く出て来てあげたらー?」
ナス子の食器も奪うと、一緒に下し洗い出す。
その様子に洗い物を任せ、玄関に向かうと扉をガチャリと開ける。
「あ」
そこには若干気まずそうに笑顔を引きつらせた恋人の姿があった。
「ごめん、やっぱ……気になっちゃって」
「チョロ松、……イベントはもう終わったの?」
今日はもう家には来ないだろうと思っていたナス子は多少驚き目を丸くしたものの、同じく気まずそうに言葉を返す。
「うん、終わったけど……ごっ、ごめん!!」
そしてチョロ松はナス子に深く頭を下げる。
「今日は帰ってからも一緒に飯食ってアニメ見て漫画読んでとか……色々約束してたのに、その……」
頭を下げたままのチョロ松がふと足元を見ると、見慣れた靴が目に入り一瞬動きが止まる。
「別に謝ることないよ? チョロ松の趣味は理解してるし、アイドルオタクだって事もわかってるんだから」
1ミリも気にしていないと言えば勿論嘘になるが、ナス子は本当に気にしていない。
自分も趣味を持っているから、好きなものに夢中になる気持ちはわかるし、それをどうこう言うつもりも毛頭なかった。
「…………ねぇ、ナス子」
「ん?」
「もしかして今、トド松来てる?」
頭を上げ、ナス子の顔を見ながら抑揚のない声色でそういうチョロ松には、数秒前までの反省した様子はもう見られない。
「うん、来てるよ。とりあえず上がって」
ナス子に促され、部屋の中へと上がると、食器洗いを終えたトド松が台所から姿を現し、二人が対面する。