第9章 楽しいがいっぱい 十四松side
それから二人でちょっとした山に登った。
ここなら色んな虫もいるし草がいっぱい生えてるし、どんぐりもあるし楽しい所!
「十四松、見てみて! 木になんかいるよっ」
「ほんとだー! あれは何の虫だろうねっ」
「ね! 触れないけど見てるのは楽しいなぁ♪」
姉さんが発見した虫を二人で見上げながらなんの虫か話したり名前を言い当てたりして遊ぶ。
今日は昆虫図鑑二人とも忘れちゃって調べられないけど、 姉さんはノートを持ってきてボクらが見つけたものを絵にいっぱい描いた。
「姉さん、絵上手くなったね!」
絵を描いてる姉さんはいつも楽しそうにニコニコしてる。
ボクはそんな姉さんの隣でそれを見てるのも好き。
「え、ほんとー? いやはや照れますなぁ~」
「照れる事ありまへんよ~」
姉さん、嬉しそうだ。良かった!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!いい事思いついた!!
「姉さん姉さん!」
「ん? なに、十四松???」
今度は見つけた花を描いていた姉さんの肩をつつき、ボクを指さす。
「ぼくも描いてよ♪」
姉さんが上機嫌で絵を描いてるのを見てると、描いてもらってる人ってどんな気持ちなのかなぁって気になった。
ボクもニコニコした姉さんに描いてもらいたくなったんだ。
「えぇ?! 十四松を描くの?!!!!」
「うんっ♪」
あれ? なんか姉さん顔赤い。どうしたんだろう??
「えっと、あの・・・似顔絵を描くのは苦手、で下手かも」
あぁ、そういう事か!!でも全然気にしないのに。
「大丈夫だよ姉さん! 似てなくても僕描いてもらえるだけ嬉しいよー♪」
「そ、そう?」
姉さんはちょっと恥ずかしそうにしていた、ちょっと可愛い。
いつも可愛気ないって皆が言うけど、そんな事思わないのになぁ?ダサイ時はあるけど。
姉さんに言われてその場に座り姉さんの方をまっすぐ見る。
その間姉さんはボクの顔をじーっと見て、ノートにサラサラとペンを走らせた。
真剣な顔をしながらも時々ニコニコと笑顔になっている。
へ~、描いてもらうのってこんな感じなんだー!なんか楽しいねぇ!!