第65章 【R18】【トド松ルート】残念だった人
「うっさいなぁ、別にいいでしょー! 美味しいものを美味しく食べるっ、それがいっちばん大事だと思うのだよ私は!」
「ちょっと、こっちに箸向けないでくれないっ? ったく、ほんとマナーも何もなってないんだから……」
「あ、ごめんごめん! つい熱くなっちゃって、あはは~」
世の中不公平だ、世界はこんなにも沢山の女の子達がいると言うのにどうして自分の前にはこのような女子力がなくマナーもなく思考力さえも乏しい可哀想な正直生物学的に考えて女子!ってだけの女性?が自分の幼馴染なのだろうか。
普通はもっと年上の幼馴染なら、お姉さんらしく優しくて可愛い……まではいかなくてもいいから、もう少しだけ女の子らしく年下をリードし、甘やかしてくれるような母性本能を兼ね揃えているような人でも良かったのではないかと自分の食べる湯麵を食べながらトド松は憎らし気に思った。
「はぁ……、何でこうも残念だらけなんだろう」
「へ? 美味しくない?」
「あぁ、ラーメンの話じゃなくて姉さんの話ね」
まるで失敬だと言うような不満そうな顔を向けるが、今は食べているものに夢中になっているようでいつものような煩い悪態は返ってこない。
「はふはふ……、ズゾゾゾ………」
「美味しいよ? 美味しいけどさぁ……、一緒に食べてる女性(笑)がなんて言うか残念、なんだよねぇ」
「ひょっぉ、ひほおはんへんへいうほひゃめへふれる」
「何言ってんのかわかんないし食べながら喋らない!」
「ふぁーい」
全く人の話を聞かないし、今日も適当なパーカーにすっぴん。
トド松はどうにかしてこの姉を変身させられないものかと頭を抱えている。
「あ゛ーっ、もう! 珍しく外食とかして外に出てるんだから少しはお洒落して化粧もすればいいのにっ! なんっでぼくが一緒にいるのにそういう恰好してくるかなぁ」
そんな弟の文句などは一切気にする事もなく最後のスープもちゃんと飲み切る。
「~~~~~~っは、食った食ったぁ」
「……ちょっとだけでいいから可愛くしようって思わない?」
目を細め拗ねた視線を感じるとナス子はキョトンとして向かいに座る人物を見る。
首を傾げ、コイツは何を言っているの?と言う目だ。