第65章 【R18】【トド松ルート】残念だった人
「パイタン麺って……響きエロくない?」
「え……え? 何急に?」
突然に呟いた年上の幼馴染ナス子とトド松は、本日共にランチをしている。
可哀想で残念な思考力をもつその相手は、白湯麺を食べながら意味不明な言葉をボソリと口にした。
「って、職場で言ったらさ、全員に白い目されて馬鹿にされた……」
ズゾゾ、と恥ずかし気もなく音を立ててラーメンを食べる様はまるでオッサン。
そして言う事もオッサンだ。
「そりゃそうでしょ、男が冗談で言うならまだしも女の人がそんな事言ったら普通引くよね?!」
「えー、男女差別反対~!」
「……ねぇ、それ職場でわざわざ口に出す必要あったのナス子姉? っていうかもっとTPO的な物を弁えた方がいいんじゃないかなっ」
あまりの呆れる行為に、我慢出来ずについ突っ込んでしまう。
ちなみに野菜たっぷり湯麵を食べるトド松の様はナス子よりもまだ女子力が高いというか、大人しい食べ方だ。
何の予定も特にはなく、今日は何をして過ごそうかとスマホを眺めていたトド松だったが、たまたまナス子にLIMEで呼び出され、暇だったので来てみれば相手にラーメンが食べたいと言われこの店に連行された。
以前深夜に兄弟達と食べに来ていた時、この店で偶然ナス子と出くわした事もあり、ここに食べに来るのは二人共二度目になる。
ちなみにその翌日に風邪を引いたナス子を看病したお詫びと言う事で、今日はナス子の奢りだ。
「……ズゾゾ、ふはーっ! ここのラーメン美味しいよね!」
「あのさ~、ちょっとは女の子らしく食べれないかなぁ? その食べ方完全にオッサンそのモノだからね」
いつも女の子には優しくあざとく、可愛く接するトド松だが、この幼馴染には全くその態度を示そうとはしない。
寧ろ態度は六つ子の兄弟達に接するそれと同じ扱いで、ナス子自身もその扱いに、クソ生意気な弟だと思いつつも、たまに文句を言う時もあるが、女子として扱われない事が楽だと思っている。