第64章 【番外編】呪われた? おそ松
落ち着きを取り戻したおそ松は、起き上がると、私から少し身体を離して、手を引いて私のことも起こしてくれる。
「サンキュー、ナス子・・・もう、感じなくなった・・・」
「うん・・・でも、なんなんだろうね。ホントにお祓い行くの考えてみたほうがいいかなぁ。そしたら、一緒に行ってあげるからさ」
「うん・・・そだな」
「元気出して、大丈夫だよ、見られてる感じがするだけで、何かされたわけじゃないんでしょ?気を強く持って!おそ松らしくないぞ!」
私がそう言って笑うと、おそ松も、少し何かを考えた後いつものようなニカリとした笑顔を浮かべた。
それを見て、私も少し安心する。
「そだな!ちょっと考えすぎてたかも・・・俺らしくないよなぁ!は~やめたやめた!」
「ふふっ、そうそう、その意気!」
「ナス子」
「なに?」
ふいに名前を呼ばれて、返事をした瞬間、唇を塞がれる。
あまりにも突然のことで、私が何か言うよりも先にそれは離れていって、目の前のおそ松が鼻の下を指で擦りながら悪戯っぽく笑う。
「お礼!」
「━━━━━━・・・っ馬鹿!いらんわそんなお礼!!」
ゴシリと手の甲で唇をぬぐうと、ぶーぶーとブー垂れているおそ松を余所に、部屋を出ようと襖に手をかけそれを開ける。
すると、後ろから声がかかった。
「マジでさ、あんがと」
「・・・・・・・別にっ」
おそ松のその言葉には振り向かず、私は階段を下りていく。
帰ろうと玄関に足を向けると、居間の前・・・玄関の前でもあるが、そこで松代さんと会ったので、挨拶をする。
「あ、松代さん、お邪魔しました。そろそろ暗くなるので、私帰りますね」
「・・・ナス子ちゃん・・・」
「はい?」