第64章 【番外編】呪われた? おそ松
俯いて、なんだか言葉のトーンも暗い松代さん。
どうしたんだろう、と思っていると、突然ガシリと両手を取られ、キツク握手をされる。
何事かとビックリして松代さんを見ると、何故か涙目でこちらを見ている。
その視線には、感動・・・とでもいうのか、とにかくキラキラしたものがあって、私は少したじろぐ。
「あ、あの・・・?」
「ナス子ちゃん・・・・・・おそ松のこと、よろしくね・・・!」
「━━━━━━━━は?」
「ナス子ちゃんなら安心して任せられるわ・・・松代嬉しいっ・・・結婚前だからああいうことは・・・って思ったけど、20歳すぎてまだ童貞の息子だもの・・・ナス子ちゃんと一緒にいて我慢しろって言うほうが酷ってものよね・・・っ!二人ともいい大人なんだから、私は黙って見守るわっ・・・私は味方だから!」
「は?!あ、あの?!松代さん、なにを」
「今度からナス子ちゃんが来た時は、私は出かけるようにするわね~!」
と、言いたいことだけを言って、踊るようにカゴを持って買い物に出かけてしまった松代さん。
松代さんの去った玄関を、唖然として見つめる。
━━━━━━━━━・・・・・・・もしかして・・・
先ほどのおそ松の、視線の話を思い返してみる。
視線を感じる?
ずっと見られているような?
・・・さっき、私を押し倒したタイミングでおそ松が震え出したのは・・・
・・・まさか・・・
「・・・こういうオチ?」
その後、なにやら誤解したままの松代さんの話をおそ松にしにいこうかとも思ったのだが、何だかドっと疲れてしまった私は、構わず家へと戻った。
松野家では、その日の夕食に、何故か赤飯が炊かれたという・・・
誤解ですからね・・・松代さん・・・。