第64章 【番外編】呪われた? おそ松
「なにすんの!」
「ナス子よく聞いて?これはちゃんとした浄霊だからっ」
「はぁ?!」
「ほらぁよく言うだろ?エロいことしてると霊が寄って来ないって!」
「はぁぁぁぁ?!なにそれ聞いたことないんだけどっ?!何処で知った?!誰情報?!」
冗談じゃないっ、と私が起き上がろうとすると、まるでさも当然のようにそれを制止される。
このままの流れでは旅館のあの日の二の舞になってしまうと思った私は、必死に抵抗して腕を動かそうとするが悔しいことにビクともしない。
ここは得意の頭突きでもしてやろうかとキッとおそ松を睨む。
だが、そこで私は思わず力を抜いてしまう。
おそ松が、今日一番の青ざめた表情をしていたから。
「━━━━━━━お、そ松・・・ちょ・・・大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・見られてる・・・」
「え?」
床に突っ張っていたおそ松の腕の力がガクリと抜け、抱きしめあうような形になってしまう。
一瞬焦ったが、おそ松の体が小さく震えているのがわかって、背中に手を回してトントンと優しく叩いてやる。
「おそ松、大丈夫・・・大丈夫だよ、誰もいないよ?」
「いやっ・・・絶対見られてる・・・俺わかるもん!感じるもん!」
「おそ松━━━━━━━━・・・おいっ」
震えながらもしっかりと服の中に手を差し入れようとしてきたおそ松の手の甲を思いっきり抓む。
まったくどんな時でも油断ならない男だ・・・
それから、そのまま数分たって、結局おそ松が落ち着くまでずっとその体勢のまま、頭を撫でてやったり、声をかけてあげたりした。