第9章 楽しいがいっぱい 十四松side
まぁ、いいや。と言う顔でそろそろ行こうかと姉さんが立ち上がった時、ウチの扉が開いた。
誰か出てきたみたいだ。
「おーっすナス子! な~に~? これから十四松とデートぉ???」
おそ松兄さんだ、なんだかニヤニヤしてる。
つなぎの姿に兄さんも着替えたみたいだけど、寝ぐせがついてるよ?
うーん、前にナス子姉が遊びに来た時はすぐに出て来なかったのに、今日は兄さんも遊んで欲しい日なのかな?
「デートじゃないよお? 探検ごっこだよ!!」
「そうそう、二人の秘密の場所に遊びに行くんだよねー♪」
二人の秘密の場所かぁ、楽しそう♪
昔はそういう場所、いっぱい作ったなぁ、でも結局兄さんやトド松に見つかっちゃったりしたんだよね。
「ふーん、秘密の場所ねぇ」
兄さんは半ば興味なさそうに鼻をほじって鼻くそを道路にとばすと、頭の後ろで両腕を組んでニカリと笑った。
「俺、今日暇なんだよねぇ~。俺も連れてってよ~」
あぁ、やっぱり。今日は遊んで欲しい日だったんだね兄さん。
確か昨日は競馬もパチンコもダメで、お金がもうないとか言ってたもんなぁ。
ボクが口を開いて黙ったままでいると、ナス子姉が代わりに口を開いた。
「残念でした! 今日は私と十四松の二人の秘密の場所を作る日なんだから、おそ松が付いてきたら意味ないでしょー?」
「えー、いいじゃん別に!3人の秘密の場所にすれば~」
口を尖らせてる兄さんを見て連れてった方がいいのかな?って迷ったけど、折角ナス子姉と久しぶりに遊ぶんだから、ここは二人で行きたいなぁ。
「兄さんは今日は留守番ね!!!」
「えぇ、なんだよお前までー、ちぇーっ。いいよいいよ、チョロ松で遊ぶから!」
「あんた今チョロ松『で』って言ったね」
思ったより早く兄さんは諦めてくれた。
いつもだったらもっと駄々をこねて拗ねてしつこくしてくるのに、珍しい。
「お前らその秘密の場所でするんだろー? 十四松も童貞だからってナス子で仕方なく手を打つなっての~、コイツで童貞捨てたらなんか勿体なくない? いくら早く捨てたいもんでもさぁ」
する?童貞捨てる?
兄さん凄い勘違いしてるね!