第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
「お前の言う通り、俺は俺でお前はお前か……ったく同じ六つ子なのに大人になって俺達変わったよねぇ」
「なに言ってんの?」
「ほら、返すよコレ」
一松の手を自分から払いのけて、その手を掴むと手のひらに鍵を乗せる。
まさか会話だけで返してもらえると思っていなかった一松はポカンとしたが長男は鼻を擦り笑っている。
「やっぱお前闇松だな! 普通楽には死なせないとかお兄ちゃんに言っちゃう~?」
「それ多分思ってるの俺だけじゃないけどね」
「ええぇ━━━━━━━!? んだよコイツぅ、お前もナス子もほんっと可愛くねぇな!!」
おそ松が腕の中に一松の頭を挟みグリグリと拳を擦りつけるが、一松の表情は嬉しそうに笑う。
「へへへ、あざーっす」
「褒めてねぇし!!」
なんで鍵を返してくれたのかはわからなかったが、長男相手にボロボロにされると覚悟を決めていた本人は喧嘩や口論を避け普通に会話が出来た事にホっとした。
「あー、もうムカツクから早くナス子のとこ帰れよお前ー! どうせ今からしれっとバンバンやんだろぉ?!」
「お察しの通りで」
「がーーーー! マジ腹立つ!! いいか?! 俺はまだ諦めてないからな?!」
一松は踵を返しマンションへと向かおうとしたがおそ松の叫びが聞こえると悪い顔をして振り向く。
「その時は俺も……本気で相手するから」
言うが早いか、そのまま弟は闇の中へと消えてしまうも、おそ松はつまらなそうな顔をしてベンチに座り込む。
「ったく……なんでアイツなのぉ?」