第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
「十分に幸せ借金があるからね……お前とやりあって少しでも不幸返済しとこうって思って」
「うぉっ」
急に一松がおそ松の腕を引き掴みかかる。
おそ松は抵抗する事なくそれを受け入れた。
「……………」
拳を握り、顔面を殴ろうと手を出すもその拳は動かす事が出来ず震えていた。
どんなにクソでも救えない馬鹿でゲスでも大好きな兄弟である。
「あんだよ一松、やんないのぉ?」
「……………っ、はぁ」
恋人への気持ちと兄弟への愛が混ざると、一松は震えた拳を下げる。
どうしても暴力で解決したくはなかったし、きっとナス子も幼馴染で弟のおそ松、そして恋人の一松が殴り合いの喧嘩をしたなどとしったら逆にキレて説教されるのではないだろうか。
勿論、心配もさせるし悲しませるようになる事も想像出来た。
「は~~~っ、お前はホントに、ノーマル四男だなぁオイ」
「ノーマルだろうがなんだろうが関係ないね。アンタとここで殴り合ったって勝てる訳でもないし、ただ俺は本気で邪魔されたくないし取られたくないし」
「そんなんでナス子の事守れんの? お前」
「暴力だけが守るって事じゃないでしょ、それくらいおそ松兄さんだってわかってるんじゃないの?」
「うわっ、弟に説教されちゃったよー!! クソー、リア充爆発しろよほんとっ腹立つーーー!!」
「俺には俺の守り方があるし、もし本当にあんたが手を出す気になったらその時は……………楽には死なせないから、覚悟してよね?」
「え?! 楽にはってなに?! 普通に殺すじゃダメなのっ? いや、死にたくないけどさ………あー、でもそっかぁ」
なんだか会話がだんだん和んでいっているようにも見え、おそ松は掴まれたまま肩を竦める。