第1章 平穏な日々に嵐はやってくる~おそ松~
「いてっ、なんだよDVに走ろうっての?! それこそもういい歳した女が可愛い年下にする事かよぉ」
「DVは家族間とか夫婦間で起きる暴力のことですぅ~~私とアナタは他人なのでこれはただの暴力です~
可愛い年下? どこかな~?見えないなぁ~」
「いやただの暴力もダメだろ! ちぇ~、なんだよ、こんなに必死に頼んでるのにぃ」
やられたおデコを痛そうにをおさえながらもちゃんと突っ込みは入れてくるおそ松。
口を3の字にしながらいじけた顔をする様子は可愛いと感じなくもないが、コイツはおそ松だ。
騙されるな、私。
「ここに2000円あります。その鍵と交換しよう」
「えーーー、折角手に入れた俺の第二の寛ぎ空間を奪うのかよ」
「手に入れたって、それ窃盗だからね?! しかもウチを勝手に寛ぎ空間にされてたまるかっ」
2000円を財布から取り出し目の前でゆらゆらとちらつかせる。
「くっ」
あ、これはグラついてますな…、もう一押しすれば平穏が戻ってくるかもしれない。
「それじゃー、3000円ならどうだ! 10連ガチャ回せちゃうんだから!」
「お前ゲームに課金とかする金あるんなら俺に渡した方が得よ? 勝ったら借金に上乗せして返すから!」
「ゲームは私の命を繋げる大事な資金だからいいの! あとアンタ勝たないでしょうが! 得もなにもあるか!」
「いいじゃん~、ウチで皆で麻雀とかトランプしようぜ!その方が何倍も楽しいって。で、ゲームやらなくなったぶん俺にまたお金貸すことだって出来るわけでしょお?」
麻雀はできないけど皆とトランプはしたいなぁ。
カードゲームってみんなでワイワイやると楽しいんだよね。
と、一瞬そんなことを思っていると、
「んじゃ、ま!3000円で手をうちますか。いっただっきまーす♪」
「早っ」
ちらつかせていた札が瞬時に奪われると、私の手に鍵をポンと乗せてきた。
「ほい、これでいいんだろ?」