第3章 開き直られました
夜遅くにへとへとになって帰ってきたレオナルドさん。
私は意気揚々と、アルバイト先が決まったことをお伝えした。
なるべく早めに出て行くつもりだとも。
てっきり喜んでもらえると思ったのに……。
「許しません!!」
レオナルドさんは私の前に仁王立ち。腕組みをし、キッパリ言った。
(何でか知らんが、肩に乗ったソニック君まで腕組みしていた)
「お兄ちゃん、ハルカがそんな怪しい店に勤めるのは断固反対です!」
いつお兄ちゃんになったよ……。
私が見つけたアルバイトは『添い寝カフェ』。
可愛い女の子やお姉さんが、疲れたお客さんに添い寝してグッスリ寝てもらおうという、コンセプトカフェである。
お店の人は私の呪いのこと聞き、即採用してくれた。
「でもですね。表通りにあるお店なんです。勤めてるお姉さんからもお話を聞きました。
オプションサービスは拒否OKで、店から強要されることもないって。
それ以前に、私の近くにいる人はすぐ眠くなるから事故も無……」
「ダメだ!!」
腕でバッテンを作り(ついでにソニック君も一緒にバッテンを作り)、レオナルドさんは断固反対。
「ハルカ。この街は本当に危ないんだ。今日だって人身売買組織をあちこち潰してきたけど、中には君みたいな女の子もたくさんいた」
「…………」
「だまされて売られてヤク漬けにされて、ひどいもんだったよ。俺は君に、そんな風にはなってほしくない。
俺もつきあうから、一緒にちゃんとした店を探そう?」
いや、それよりも。
「レオナルドさん、ピザ屋で働いてるのでは?
何でそんな物騒なことをしてるんです?」
「うぐっ!!」
語るに落ちたな。
やはり、あんな『目』を持ってる人間が、ピザ屋のバイトだけしてるわけがない。
「私のことを心配して下さるのは嬉しいですが、ご自分はどうなんです?
人身売買組織をつぶすという目的はご立派ですが、十分危険ですよね?」
「いや……でも、君は女の子だし……俺の役目は斥候(せっこう)とか脱出ルートの確保とか……」
「危険ですよね?」
「うう!!」
「お兄ちゃん……私、お兄ちゃんにそんな危険なお仕事をしてほしくないわ」
「ち、違うんだミシェーラぁ!! これには理由が!!」
あなたの妹ちゃうって。