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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



「レオナルドさん。今日は本当にありがとうございました。もう寝て下さい」
「分かった……じゃあ、俺、ソファで寝るから……君、ベッドで……」

 言い終わる前に、くかーと寝てしまった。ついでにソニック君も。
 私は苦笑し、彼に布団をかける。
 そしてソファに座った。

 親切を装って、実はケダモノに変貌……という展開もやむなしと思ったが、普通に良い人みたいだ。
 レオナルドさんはレオナルドさんで、何でこの街にいるんだろう。

「……て、さっきの『目』か」

 あれが何なのかは聞いてないが、レオナルドさんも事情あってこの街にいるのだろう。

「誰でも、色んなものを背負ってるんだ」
 可哀想なのは、私だけじゃない。
 だからこそ、生きていける。
 
 とはいえこんな街で一人、どうしていけばいいのか。

「ん?」

 スマホが鳴ってるのに気づいた。レオナルドさんのポケットからだ。

「レオナルドさん! 着信ですよ!!」
 大声で肩を揺するが、呼べど叫べど起きない。
「レオナルドさんってば!!」

 うう、私の『呪い』め!!
 人を寝かせる割に、起こせないとか!!

 しかし、着信もしつこい。留守電になろうが何だろうが、即座にかけ直してくる。
 よほど火急の用事なのだろうか。

 でも呼びかけたかいあって、レオナルドさんもようやく、
「うるさいなあ、ミシェーラ……分かったよ」
「ミシェーラさんじゃないし、分かってないし!! 電話です!!」
「うーん……」
 寝ぼけながらも、どうにかスマホを取ってくれた。

「……すみません。寝ていて……いえ、そういうわけでは……」

 眠そうな声で、どうにか応対していた。

 しかし私も眠いな。今日は色んなことがあった。
 ソファに横になり、毛布をかぶると自然にあくびが出た。

「……え!? いや、さすがにそれは無理ですよ!
 病院とか出入りのすごく多い場所で、一回も見たことのない人の足取りを追うのは……」

 私はウトウト。緊張の解けた身体は速やかに睡眠モードに移行する。

「はい……いえ。こちらこそ、お役に立てなくてすみません……はい。では明日……」

 スマホを着る音。独り言のように、

「どうしたんだろう。あの人が、あんなに焦るなんて珍しいな」

 電話相手のことらしい。私には関係のないことだ。

 私はすーっと、眠りについた。

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