第3章 開き直られました
そして夕飯にしようということになり、私たちは冷めた廃棄ピザと常温コークで腹をみたした。
今まで良い物ばかり食べてきたけど、こういうジャンクフードみたいな食事も、思ったより身体になじむ。
ただ私は常温体質なので、最初は離れて食べようとした。
けど『一緒に食べよう』と、レオナルドさんに押し切られた。
私はちょっと泣きそうだった。
「あと昼間の件、本当にすみませんでした……呪いのことを言ってなかったせいでご迷惑が……」
「あ、あはは。まあ君を助けて時間かかっちゃったから、どっちにしろ同じだったと思うよ」
フォローになってるようで、全くなってないことを仰る。
『昼間の件』というのは、私を宅配バイクに乗せたせいで『宅配中の熱々のピザが一瞬にして冷めてしまった』件だ。
レオナルドさんは宅配先で殴られそうになるわ、店にクレームは行くわと散々だったらしい。
幸い、今までの勤務態度が真面目だったから、クビにならずにすんだそうだが。
「こんな街で、見ず知らずの私を助けて下さるどころか、家にまで泊めてくれて……」
「だからいいって。俺、故郷に君と同じくらいの妹がいるから、何だか放っておけなくてさ」
マジかー。人の情っていいもんだな。グスっと泣きそうになる。
…………
そして食べ終わり、私は薬を飲んでから、改めて呪いについて説明した。
レオナルドさんは、ベッドであぐらをかき、腕組みをする。
「『常春(とこはる)の呪い』……」
うーんと首をひねる。
「聞いたことがないなあ」
それからスマホを出して、数分間ポチポチと検索し、
「十数件しか検索結果が出ないね。どのページも脅威ランクは最低レベル。『軽い呪いだし、すぐに解けるから、放置推奨』」
「デマです。放置してたら解けなくなるんです。あと生活の支障も大きいし」
薬を飲まなければ、呪いがどんどん強化され、被害が拡大するらしい。
まあその前に、呪いによるトラブルや食中毒、気化した毒ガスを吸い込んだりで、大半の被害者が死に至るらしいが。
Safeだと思ってたらEuclidだったとか、どういう詐欺だ!
はっ! 私、何か言いましたか? ねこです。よろしくおねがいします。
……コホン。
「ごめん。ちょっと『見』てみるね」
レオナルドさんが言った。
何を?