第2章 告白されました
午前一時。
横になってるのに眠くない。奇跡だ!
そして、扉が開く音がする。
暗い部屋に人の気配。こちらに近づく靴音。
私は熟睡状態を装うべく寝返りを打たず、スティーブンさんに背を向けるようにしている。
いつ驚かしてやろうかとワクワクする。
そして、椅子を引く音。座る音。
ええ? 寝顔をチラッと見て終わりじゃないの?
いやスティーブンさんのことだから、起きているのに気づいて持久戦に持ち込むつもりでは……。
「ハルカ」
優しい声がする。そして私の手が大きな手に握られる。
頭を撫でられ、耳元の髪を指ですくい上げられる。
そして頬を撫でる指……軽くつまむな!
それから顔の輪郭をたどり、首筋をつうっと指が滑る。
も、もしや人が寝てるのを良いことに、夜ごと、いやらしいことをされているのでは!?
心臓がばくばくする!
……だけど何もない。
そのまんま、また髪を撫でられ、やがて手が離れ――最後にズレてた布団を肩までしっかり、かけなおされた。
「おやすみ。良い夢を」
髪にキスをされる。
それから立ち上がる音。
「え!? ホントに何もしてないんですか!?」
ガバッと起き上がって叫ぶ。
「!?」
立ち去りかけてたスティーブンさんの背中が凍りつき、
「ハルカ!……君、夕飯を抜いたな?」
「は? 何でお夕飯のお話に?」
まあ起きてるべく、ご飯を抜いてみたのは確かだけど。
「コホン」
スティーブンさんは咳払いし、ライトをつけた。
まだジャケットも脱いでない。今日も何かしら戦闘があったのか、ネクタイがちょっとだけ汚れ、裾に焦げた跡があった。私は慌てて、
「スティーブンさん! お怪我を!?」
「大丈夫。君が心配することは何もないよ。おいで」
手招きされ、スリッパを履いて近づいた。
そしてスティーブンさんがかがみ、私の両頬に手を添える。
「ただいま」
「おかえりなさい」
キスをされ、笑顔になれた。
だがハグしようとすると、手で制された。
「ハグ! 私にハグを!!」
手で顔を押さえられ、ジタバタするが、
「こんな汚れた格好で出来るわけないだろ? とにかく来なさい。睡眠も大事だけど栄養もちゃんと取らないと」
スティーブンさんに続いて、あくびをしながら部屋を出た。