第2章 告白されました
『僕が本気で報復措置を行うのなら、君はまともに手紙なんて書いてられないだろうね。身の程をわきまえなさい。
……僕だって一緒に過ごしたいけど、ぐっすり寝てる君は起こせないよ。せめて手をつないでいるよ。
Steven』
『このクソマフィアが。栄養ドリンクと心中しろ!
……会えなくて胸が痛いです。今日こそは起きてます。
ハルカ』
『だからマフィアじゃないと言ってるだろう、居候が!
……眠れるときは寝た方がいい。僕はずっと君のそばにいるから。
Steven』
……。
…………。
……何だろう、この茶番は。
とにかく、スティーブンさんは、また激務の日々に戻ったのだ。
おかげで生活時間が全く合わず、朝晩、互いに置き手紙をする形になってるんだけど……。
殺伐としてるんだかツンデレやってんだか。
てか『私』自身が『何様』だ。
家主が出て行った後に起きる! 帰る前に寝る!
しかも食事まで作ってもらう!
どんだけ図々しいんだ。
……いや、私の就寝時刻と起床時刻は平均的なもの。
スティーブンさんが忙しすぎるのだ。
し、食事の件は極めて些細な問題なので! この際、さておくっ!!
コホン!
とにかく。仲を進展させるにしろ後退させるにしろ、同じ家にいながら顔を合わせられない状態だ。
だから、起こしてくれって言ってるのに!!
我が身の健康さが泣ける!!
「あ。もうすぐ私が、ホントにヘルサレムズ・ロットから出て行くってこともあるのかな……」
どうせ別れるんだし、スティーブンさんにはわざわざ口説くメリットなど、皆無であろう。
もしや帰りが遅いのは、金髪美女の恋人と寄りを戻し一緒に過ごしてるからでは!?
……い、いや元々私たちは仮のおつきあいだ。
スティーブンさんは何もかも面倒を見て下さってるのに、私に浮気を責める権利があるんだろうか。
というか恋人の存在自体、本人の口から聞いたわけじゃないんだし。
あああ! 悶々とする!!
もう別れるのでも恋人がいるのでも、何でもいい!
スティーブンさんに! 会いたいっ!!
そういうわけで、私は決意した。
「今日こそは起きて、二人で甘い時間を過ごしてやる!」
雑巾で高い場所をごっしごし擦りながら、決意したのだった。