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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第2章 告白されました



「いやあホントに手紙通りだったとは意外でした」
「君、僕にどういうイメージを抱いてるのかな?」

 ちょびっと青筋立てながらスティーブンさん。

「いえ、何というかこうですね。愛する薄幸の美少女が、可憐な寝顔を無防備にさらしてるんですよ?
 寝てるとこを利用して服を剥いだり――いらいいらい! しゅてぃーぶんしゃん、ほっぺやめれ!」

「ど・こ・の・欲求不満の変態野郎だ、僕は!! あと毎度毎度、自分を『薄幸の美少女』に例えないでくれるかな!?」

「違います、スティーブンさん。これは例えでは無く事実――いやあああ! ごめんなさい、嘘です! 調子こきました!」
 両耳をつままれ、痛くない程度にかるーく『回そうと』される。

「し、心配しないで下さい! 起きるに起きられない状況に陥った恋人の羞恥心を楽しむのもまた、プレイのうちでして――!」
「何に対しての『心配しないで』だよ! 最初の時点から許可無くそんな特殊プレイを強要するわけがないだろう!!」

 許可があればやるのかという疑問が、ふと頭をよぎったが、反論は許されぬ雰囲気であった。

「いやあ、耳がー!」
 とりあえず、ぐりぐりされながら私はリビングに連行されたのであった。

 …………

 そしてリビングに来た。窓の外は真っ暗だ。
 エプロンをしたスティーブンさんが、皿を手に私に近づいてくる。
「ハルカ、また解凍頼むよ」
 頼むも何も、私に冷凍食品を近づけた時点で、解凍が終わってるでしょうが。
「そしてどれだけあるんですか、その冷凍ローストビーフ」
 私が言うと、スティーブンさんは何も言わず、ただ笑う。
 
「して、私のお夕飯はいずこに?」
 リビングにあったはずの、私のサラダとチキンとマフィン!
「一緒にいるときは同じ物を食べようって言っただろ?」
「半分分けてさしあげましょうか?」
 チキンとマフィンは私がいただくが。
「それじゃあ僕が足りないな」
 肩をすくめて私にキスをし、私に背を向けローストビーフを持っていく。

 そしてこちらを振り向かず言った。

「ハルカ。明日、病院に行くからね」

「…………」

「警察もどうにか協力してくれた。君は数日以内に、ヘルサレムズ・ロットを出られると思うよ」

 …………。

「ありがとうございます、スティーブンさん」

 他にどう答えられただろう。

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