第2章 告白されました
「もう一回、キスしよっか」
「…………」
コクンとうなずき、唇を重ねた。
「……?」
ほどなくして戸惑った。
いつもの触れるだけのキスと違う。その……舌が……入ってくる!
気まずく、恥ずかしくて身体を離そうとしたけど、強い力で抱き寄せられた。
頭を支える手の力が強い。顔を動かせない。
キスが、深い。
密着して互いの激しい心音が、どちらのものか想像がつかない。
熱い。私の呪いは生体にまでは影響しない。
だからスティーブンさんの身体が……熱い。
「……はっ……げほっ」
やっと離してもらって、唾液をぬぐう間も無く咳き込んだ。
スティーブンさんは余裕の笑み。
「大人のキス。その反応からすると、初めてだったかな?」
「う、うるさいですっ!!」
離れようとすると、また腕に絡め取られた。
「ごめんごめん。喜んでくれると思ったんだ。そんなに怒らないでくれよ」
「怒ってませんよ」
ぷいっと顔をそらす。耳まで赤いですけどねっ!!
「分かった分かった。悪かった! それじゃ、何か一つ言うことを聞いてあげるよ」
「言うこと?」
スティーブンさんを振り向くと、わざとボタンを外し、鎖骨のあたりを見せつける。
首元のタトゥーの先が見えてドキッとする。
「お望みなら、脱いであげようか? この前、君の身体を見たお詫びに」
「そ、そんな変態なお願い、するわけないでしょうがっ!!」
ますます顔を真っ赤にし、つかみかかって、ボタンをつけ直す。すると笑う声。
「暖かいな、ハルカは」
スティーブンさんは私の髪に口づけし、言った。
「それも病院で呪いを解いてもらうまでですよ」
スティーブンさんと別れるのは辛いけど、厄介ごとも多いこの体質から解放されるというのは正直ホッとする。
「あ、そうだ」
振り向いた。
「スティーブンさん。お願いをこの場で言っていいですよね?」
「ああ、もちろんだよ」
スティーブンさんはソファに腰かけたまま微笑む。
「それでは――」
敵の顔が絶望に彩られるまで、そう長くはかからなかった。