第2章 告白されました
「あらまあ」
「何が『あらまあ』だよ。全く」
でもスティーブンさんはなかなかハグを解除せず、ぐりぐりと頭をこすりつける。
ん? 彼は片手にデカい買い物袋をお持ちだ。
「でも、おかげで映画を観ることが出来そうだ。
軽く夕食をすませたら、一緒に『ローマの休日』を見よう」
結局ハグを解除せず私を抱き上げ、機嫌良さそうに歩き出す。
「『ジュラシック・シャーク』――」
「ハルカ。性的なおしおきを受けたくなければ、黙っていなさい」
はーい。
…………
それはそうと『ホームシアターって何ぞ?』と思っていたが。
要は大スクリーンと音響装置とプロジェクターその他もろもろを使って、自宅に映画館を再現しようという、何ともアメリカンな設備のことだった。
「よし、再生するよ」
大スクリーンの前で、スティーブンさんは嬉しそう。
私はソファに腰かけ、コークをポップコーンを持ち準備万端。
室内が暗くなると、ホントに映画館にいる気分だった。
私はストローでコークをずずーっと飲み、
「こういう大スクリーンでAVを再生したら、やっぱり色んな場所までよく見えるものなんですか?」
「見てる前提で聞くんじゃない!」
むにむにと頬をひっぱるスティーブンさん。
「頬じゃなくて耳の方がいいかもしれないな。君が悪さをしたら三回くらい回してみて」
「止めて。切れるから。ブチッとそれは鮮やかにねじ切れるから」
そしてレトロな音楽が鳴り響き、大スクリーンに白黒の美しい世界が映し出された。
…………
…………
「ジェラート食べたいっす」
「見終わった直後の感想がそれかい?」
リモコンで室内のライトをつけるスティーブンさん。
「白黒映画なのに、ジェラートがあそこまで美味しそうに映るとは。とんだ誤算でしたね」
「どういう誤算だよ。君が欲しがるだろうと予測はしたけど、君は今、冷たいものが食べられない身体だろ?」
うう。周囲を春の気候にしてしまう呪い!
「でもスティーブンさんの技は、私の呪いを透過するんでしょう?
あの氷で、かき氷とか出来ません?」
「かき氷とジェラートはかなり、かけ離れてないか?
あいにくと、あの氷は食用じゃないからダメだよ」
スティーブンさんは苦笑し、私を抱き寄せ、なだめるようなキスをした。
マジかー。