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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第2章 告白されました



「マフィアか。まさか僕がそう思われるとはなあ」

 スティーブンさんは私の喉をくすぐり複雑な顔。ゴロゴロ。
 ……は!

 だまされてなるものか。私はソファから飛び降り、再度、距離を取る。

「分かってはいました。でも信じられません! 私を助けて下さった方が、そんな危険な男だったなんて!」

 両手で顔を覆い、泣き崩れる(フリ)。

「危険な男? いやあ、そうかな」

 敵は、はっはっはと、まんざらでも無さそう。
 なので私はピタッと止まり、

「…………。信じられません! 私を助けて下さった方が、そんな危険な男(?)だったなんて!」

「いや、やり直さなくていいよ。若干の悪意も感じるし」

 こっちこっち、と手招きするスティーブンさん。
 私はちょこちょこ近づき、両手を広げ抱っこスタンバイ。

「信じられません。危険な男(笑)」
「省略しすぎな上、さらに改悪されているな」

 幼児よろしく私を抱き上げ、立ち上がりながらスティーブンさん。

「そんなに否定されるものかい? 君を守ったこともあっただろう?」
「しょっぱなから誤爆攻撃されてますし、抱き枕扱いされるし、全裸を見て動揺――」
「あれは疲れていたからだっ!!」
 耳元で怒鳴らんで下さいな。

「……あと、最初のときのアレはすまなかった」
 出逢いのときのことか。私の呪いが無かったら、チンピラもろとも氷漬けになるとこだったもんな。

「しかし路地裏で行き倒れてた私を助けた男。彼がマフィアのナンバー2だったとは!」
「設定が変わってないかな? あとこの街の路地裏で五分も行き倒れてたら、内臓から脳みそから全部盗まれるよ」

 ……よく私、一ヶ月も無事だったなあ。

「ところでスティーブンさん、さっきからケツを触ろうとしておりませんか?」
『危険(笑)』呼ばわりへの復讐のつもりか。
「気のせいだろ? 自意識過剰だな、ハルカは」

 笑いながら、巧妙に腰のあたりをさわさわしてる変態。
 私は身をよじるが、なにせ抱き上げられてるから逃げられない。

「動けないと思って弱みにつけこんで! 何てひどい男なんです!」
「ほら、もうすぐ部屋につくから」
「でも何だかんだで、最後には私を守って、銃弾の中に突っ込んでいくんですよ!」
「うん、もう何もかも違うね」

 結局、スティーブンさんは私のケツを撫でたのであった。

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