第2章 告白されました
大切な物を作りたくないというスティーブンさん。
でも、何をどうトチ狂ったのか、私に一目惚れしてしまった。
私は提案した。つきあえば、相手の嫌な点が見えてくる。強い熱ほど、すぐ冷めると。
「心配いらない。まだ数日だ。たった数日だから……」
スティーブンさんはそう言う。
自分に言い聞かせている風ですらあった。
「とりあえず、君を抱きしめていたい」
「どうぞ」
抱きしめられる。私は赤くなるなと、ひたすらに自分に言い聞かせた。
そこでハタと、
「そういえば今朝の電話の件は、不問ということでよろしいんでしょうか?」
朝、スティーブンさんが起きないから、電話で好き勝手を言ったのだ。
「…………」
スティーブンさん、ピタリと止まる。
そして私を下に下ろし、自分の方に向き直らせ。
「ハルカ。歯を食いしばって」
両手が私に伸ばされるっ!!
「いやあああ!!……でも頬をむにむにされてる状態で歯を食いしばるとか意味がないような……待って! 引っ張らないで下さいって!」
悲鳴が響き渡った!
…………
「単に周囲を暖かくするだけの呪いだと思ったら、困った能力が次々に出てくるな」
スティーブンさんは、熱い珈琲を飲みながら言う。
私は呪いが及ばぬよう、部屋の隅まで距離を取り――ついでにヒリヒリする頬を抑え、
「そうですね。まさか、私にこんな恐ろしい力があったとは。
周囲の人々を次々に春の眠りに誘うなど」
己の強大な力に戦慄していると、
「こらこら。素人の呪いだって、何度も言っただろう?
だが解呪の前に、一度、しっかり調べた方がいいだろうね」
「え!? 私の身体の何を調べるおつもりですか!?」
「分かってるのに、自分の身体を抱きしめるんじゃない。
病院だよ。とりあえず、次の休みに行ってみよう」
「つわりはまだ来ておりません。あ、でも甘い物はたくさん食べたくなります。
やっぱり身体が変わってくるんですかね……」
慈愛のまなざしでお腹を撫でると、スティーブンさんは可哀想なものを見る目で、
「ハルカ? 毎度ツッコミを入れるほど、僕はヒマでも親切でもないからな」
「ぐすん」
「ちなみに、いくら食べても増えるのは君の腹の脂肪だけだ」
何だかんだで、容赦のないツッコミを入れてくれるあなたが好き。