第2章 告白されました
でもやっぱ、私みたいなガキは、スティーブンさんのタイプじゃなかったのか。
一目惚れした、みたいなこと言っといて、やっぱ違うんじゃないか~。
ちなみに番頭というのは、古くは主人の下で一切を取り仕切り、下僕を束ねる役職だったそうな。
現代においては組織トップの補佐、参謀、実質的ナンバー2、部下の統率者などを指し、俗称的に呼ばれることもある。
なるほど、そんなにエラい人だったのか。
確かにクラウスさんが今どき珍しいくらいまっすぐな方だし、スティーブンさんくらいの度量の人じゃないと、支え切れんわな。
『ザップ、変わってくれたまえ』
お。クラウスさんの声が割って入った。
『旦那ぁ! スターフェイズさん、俺のことを散々クズだなんだって罵っといて、自分はまだ女とベッドの中だってよ! 何とか言ってやってくれよ!!』
あのチンピラ、スティーブンさんには一応敬語だったのに、クラウスさんにはタメ口らしい。
ホント、どういう職場なんだ。
『おはようございます。ミス・ハルカ。スティーブンはそちらにいるのですね?』
「おはようございます、クラウスさん。はい。スティーブンさんはまだ私の隣で寝てます。
ちょっと声をかけていただけませんか?」
『承知しました――スティーブン、起きたまえ! スティーブン!!』
スマホをスティーブンさんの耳元に持っていって、何度かクラウスさんの声を聞かせる。
でも起きない。
おかしいな。どれだけ寝ぼすけだろうと、職場の上司の声を聞いたら普通は起きる。
……そういえば、この前スティーブンさんと同じベッドで寝たとき、丸一日寝てたっけ。
もしかして――。
「起きないみたいですね」
『仕方が無い。ギルベルトを向かわせましょう。彼に体調不良の傾向は?』
「体調不良というか、午前三時に帰って、寝たのが夜明け前なんです。
最近、ちゃんと眠れてないみたいですが、ちょっと働きすぎじゃないですか?」
スティーブンさんの仕事内容は存じ上げないが、五徹は度を超している。
『沈痛の極みです。彼には昨晩も、早く帰るようにと伝えたのですが』
あー、一番最後まで残っちゃう人かあ。
『どうにもこのところ案件が立て込んでいて、彼に頼ってしまい、お恥ずかしい限りです』
クラウスさんの声も、少し落ち込んだ風だった。