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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第2章 告白されました



「いったいどうすれば、君に傷を残すことなく精神的に痛めつけられるか。非常に悩ましい問題だった」
「私を気遣ってるんだか気遣ってないんだか、謎すぎです。
 あと、何だかんだ言いつつ、おしおきを考えるの、超楽しんでますよね」

「で、最終的にこれに落ち着いた」
 私の頬をむにむに。
「会話のキャッチボールをしましょう、スティーブンさん」
 むしろ殴り合いたいが。


「はは……やっぱり、君と話すのは楽しいよ」
 私を抱きしめながらスティーブンさん。
「いえ、私が嫌な顔をするのを見て喜んでましたよね」
「可愛い可愛い」
 話を聞け。頬ずりすな。

 ……疲れてるなあ、もう。
 そう思いながら恋人をよしよし、と抱きしめる。

「で、今日はどれくらい私に冷めました?」
「……困ったな。もっと好きになったみたいだ」

 それは嬉しそうに、私にキスをした。

 いったい今日の一連の流れのどこに、私への好感度を上げる要素があったというのだろうか……。

「ハルカ。すごく可愛いよ」
 スティーブンさんは何度も私にキスをする。

「はいはい。スティーブンさんもカッコいいです。だからいい加減、寝て下さい」

 というか夜明けの光が見え始めてないか? 

「そうだね。やっと眠くなってきた……」
「今から寝て、出勤の時間までに起きられるんですか?」

「任せておけ。ちゃんと……アラームの時間……に……」

 その後は寝息が聞こえるだけ。

 私はため息をつき、スティーブンさんの肩まで布団をかけた。

「変な人」

 大人だけど、大人げない。
 でも、時々すごくカッコいい。

 目元の傷にそっと触れ、首もとのタトゥーを鎖骨までたどる。

 そして柔らかな唇に唇を重ね、腕枕をされながら目を閉じた。
 幸せだなあと思いながら。

 …………

 …………

 鳴っている。スマホの着信音が鳴り続けている。

「起きて下さい、スティーブンさんっ!!」

「ん……」

「とっくに出勤時間オーバーしてっからっ!! さっきから着信が鳴りまくりだから!!」

「ん……あと五時間……」

 水をぶっかけてでも起こしたいのだが、スティーブンさんは私を抱き枕のごとく離さない。

「起きて! 起きろー! スティーブン・A・スターフェイズーっ!!」


 私の悲痛な絶叫が、寝室に響いたのであった……。

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