第2章 告白されました
数分後。抵抗はしたが、スティーブンさんにベッドに潜り込まれた。
「言っておくけれど、僕は君の体調が心配だっただけだ」
「はい」
「何度も言っているが、大人をからかうもんじゃない。まして年頃の女の子が、あんな下品なジョークを言うなんて、どうかしている」
「はいはい」
「僕だったから上手く流せたが、他の男は変な勘違いをするかもしれない。今後はああいった冗談は、絶対に止めること。いいね」
「はいはいはい」
「『はい』は一回でいい」
「はーい」
「…………」
凍てつく冷気を感じつつ、私は枕にしがみつく。
「いいから、もう寝ませんか? スティーブンさん」
「眠れないから、君のとこに来たんだろう」
家主は仏頂面だった。
そう。明け方も近いというのに、突然私の部屋に来たスティーブンさん。
何が目的なのかと焦ったけど、本人はこう言った。
『眠れないから、一緒に寝かせてくれ』
逆でしょう!!
ちなみに原因は職場で飲みまくった、紅茶と珈琲とレッ○ブル。
仕事が不規則すぎて、睡眠障害の初期段階みたいな状態になってるらしい。
そういえば最初に会ったときも五徹後だったっけ。
「激務とは存じてますが、だからって栄養ドリンクの飲み過ぎはヤバいですよ?
翼を授かるどころか、そのまま天国に旅立った人だっているんですから。
身体を壊したら元も子もないでしょう?」
「うん。分かってるんだけどね……」
スティーブンさんは困り顔。だがグッとこぶしを握り、
「だが僕は今、君を手に入れた。君がいれば、僕は何があろうと大丈夫だ」
愛の言葉ではない。
春眠、暁を覚えず。私の『常春の呪い』には、人をちょこっと眠くさせる効果もあるっぽいのだ。
「私、抱き枕じゃないし。それにそんなに長く、ここにいませんからね?」
ゴソゴソと距離を取ろうとするが、スティーブンさんにギュッと抱きしめられた。
「……っ!!」
だ、黙れ私の心臓!! 今は軽口を叩いて、スティーブンさんに構われたいのに。
こんなにドキドキしてるのがバレたら……か、顔をまともに見れなくなるから!!
……ん?
スティーブンさんの心臓の鼓動が、すごく速いような。
いや気のせいだよね? スティーブンさんはこんな余裕の態度だ。
私みたいな小娘に動揺するはずがない。