第2章 告白されました
一旦、状況を整理しよう。
まずスティーブンさんは私に一目惚れしたっぽい。
しかし何やかんやの事情があり、恋人とかは作りたくないらしい。常に後ろを振り返らずに戦える、研ぎ澄まされた刃であることが理想らしい。
だから、自分の感情を揺るがす私を消したいのだ。
極端にもほどがあるが、そこは色々切羽詰まった事情があるのかもしれない。
例えば一瞬の気の迷いが決定的な『破滅』を生む――そんな事態が頻繁に訪れるとか。
でも聞いても、はぐらかされるだけだろう。
色々偶然が重なってどうにか生き延びてるが、私は現在、かなり綱渡り状態である。
私自身は?
スティーブンさんはカッコいいと思うし、経緯はさておきホームレス生活から助けてくれたことには感謝している。
でも好意は抱いても、恋愛感情にはまだ遠い。
というか私を殺しかけた危険な相手に惚れろと? 無理無理無理!!
『呪いを解いて、外の世界に帰ればいいんじゃね?』という基本かつ絶対的な解決策は、一旦置いておこう。
なら、この家の外に逃げ出すのは?
無理。今さらホームレスに戻れないし、この街で一人でやっていけるほど、私は度胸やスキルがある女じゃない。
なら消去法で、残った案は――。
「スティーブンさん、一つよろしいでしょうか?」
私はキラリと目を輝かせて、人差し指を立てる。
「ん? 散骨場所の希望かい?」
誰がそんな希望を述べるか!!
私は心からの笑顔で宣言した。
「あなたのお気持ちはよく分かりました。よって恋人として、おつきあいしてさしあげます!」
ドヤぁ!!
「…………」
スティーブンさんはたっぷり一分は目を丸くし、天井を仰ぎ、
「……よしっ」
「え? は? えー!! ちょっとちょっとちょっと!!」
流れるように自然な動作でソファに押し倒され、私は焦る。
何が『よしっ』だ! さっきまでの会話は何だったの!!
でもスティーブンさんは、ちゅっと私の頬にキスし、襟元のボタンを外そうとする。
私は顔真っ赤で、必死で敵の身体を押し返した。