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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第5章 番頭さんに珈琲を



 ひたすらに責め抜かれ、突き動かされる。

「ハルカ……っ……!」

 あとは言葉さえもどかしく、獣みたいに打ち付け、私は荒々しい波にさらわれて。

「スティーブンさん、スティーブン、さん……!」

 自分を支えきれず、青いシャツにしがみついて、名前を呼んで。
 激しく抱きしめられて。

「……っ……!」
 間近の端正な顔が『終わりたくない』言いたげに眉根を寄せた。そのまま何度も何度も激しく打ち付けて、

「――――っ……!」

 そして――波が終わる。

 イッたのと同時に、彼が深く息を吐き、ゆっくりと動きを緩めた。

「……ハルカ」
 名前を呼ばれ、目を閉じた。

 そしてキス。
 私はスティーブンさんの汗ばんだシャツを優しく抱きしめたのであった。

 …………

 …………

 眠いのになあ。
「ハルカ。今度の休みはどこに行こうか」
「ラス……ベガス……」
「賭場はダメだ。人も多いし、君は確実にカモにされる」

 言っただけだって。大真面目に受け取らんで下さい。
 てか、私がカモにされるとなぜ断言出来る。

 あの後、サンドイッチ休憩とお風呂休憩を挟み、ベッドに来ております。

「なら家で制御訓練してますよ。早く外を出歩けるようになりたいし」
 私は下着姿で、むにゃむにゃと枕に顔をうずめる。
 スティーブンさんは上半身裸の格好で私を抱き寄せ、

「せっかく色々なゴタゴタが片付いたんだ、もう少し家でのんびりしてもいいだろう?」
「じゃ、サメ映画鑑賞会――」
「ハルカ。寝ぼけていないで真面目に答えてくれよ」
 真面目ですが。人生これ以上にないくらい大真面目ですが。

「……スティーブンさんといられるなら、何でもいいです」
 ごそごそと恋人にすり寄り、半分寝ながら答えた。

「そうだね。僕も、君がいてくれるなら何でもいい」

 幸せそうに言われ、部屋の明かりが落とされる。
 速やかな寝息を聞きながらも、どこかで思っていた。


 私は起き上がる。
 寝息を立てる恋人を見、首筋のタトゥーをそっと撫でた。
 少しだけくすぐったそうに身をよじるスティーブンさん。
 ちょっと笑ってしまう。

 幸せ。

 本当に幸せ。

 でもこのままでは良くない。

 私のためにも――多分スティーブンさんのためにも。


 そして私は一つの決意をした。
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