第5章 番頭さんに珈琲を
だいたいの経緯を記す。
実は同じビル(だったらしい)にスティーブンさんがいたのは単なる偶然だった。
どうも少年少女がさらわれ人体実験や臓器売買に使われる事件が続発してたそうな。警察の依頼を受けたライブラが操作に協力。
そして主犯たる外道マフィアのアジトが分かったため、制圧作戦をやってたらしい。
一方目が覚めたレオナルドさんたちは、まず私のスマホに連絡。
でもつながらず『能力』を使って色々調べ、私がさらわれたと発覚。
慌ててクラウスさんに連絡。
クラウスさんはすぐさま、ヘルサレムズ・ロット中に散ったライブラメンバーに連絡をかけてくれ、私が乗った車を追跡。
結果、制圧作戦中のビルに連れ込まれたことが早い段階で分かった。
で、連絡を受けたスティーブンさんが必死に私を探してた。
けど、ビル内部は異空間がどこまでも広がってる上、人体実験のなれの果てのゾンビも多数徘徊。
その時点で生存はほとんど絶望視された。
でもスティーブンさんはあきらめず私の痕跡を辿り、ついに居場所を探り当てたそうな。
スティーブンさん、まじですごい。
そういうわけで――スティーブンさんに超怒られ、片っ端からお詫びとお礼の電話をかけさせられました☆
あとで現場に到着したクラウスさんは、
「そう怒らないでくれたまえ、スティーブン。
ミス・ハルカは勇気と機転で生き延びることが出来たのだ。
もう少し気遣って――」
いいぞー、クラウスさん!
「ああそうだろうな。僕がたまたまあそこで作戦指揮を執っていなければ、どうなってたか!
一人で歩くなとあれほど言ったのに――」
……保護者はどこまでも容赦ありませんでした。
あと二人きりになったとき頼んでみた。
「スティーブンさん。ボディーアーマー姿の写真撮っていいですか? カッコよすぎたので!」
……めっちゃ怒られた上、なぜか私の『恥ずかしいポーズ集☆』的な写真を撮りまくられた。
照れ隠し? 納得いかねえ!!
それと、速攻で病院に連れて行かれ、色々検査されました。
ルシアナ先生は検査データを見ながら笑顔で、
「いい感じだよ。軽い呪いだから短期間でタイミング良く制御に成功したんだね。
ミスタ・スターフェイズが頑張ってくれたおかげだね~」
……いや、私も頑張ったんすけど。