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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第4章 開き直りました



 私の氷点下のまなざしに気づき、スティーブンさんは咳払い。

「その……僕の過失は認めよう。君を傷つけたことは本当に悪かったと思っている。
 だが居宅内の監視カメラは絶対必要なものだ。万が一にも侵入者があり、君が誘拐される事態があれば、君に予想される危害は想像を絶する物になるだろう。
 防犯の面、何よりも君の安全の観点から言っても監視カメラ及びセンサーの設置は絶対だ。いいね」

 後ろ暗い人ほど雄弁になる見本例を見てる思いだった。

「…………はあ」

「そういうわけで、君の気分を害したコレは適切に取り扱おう」
 奴は私からそっと盗撮アルバムを奪い、大切そうに――機密書類のロッカーの中に放り込む。

「あ!! ちょっと!! 処分して下さいよっ!!」

 その中に入れられたら、私開けられないじゃないっ!!
 スティーブンさんは再度咳払いし、

「君のプライベートだからね。これも誰かに見られたら大変だ。大切に保管しておかなくては」
「肖像権って言葉、ご存じですかっ!?」
「ここはヘルサレムズ・ロットだぞ、ハルカ。外の法など有って無いようなものだ」
「私の目を見て話をしろーっ!!」

 ……とりあえず『盗撮は二度としません』とだけ、どうにか約束させたのだった。

 …………

 そして一緒に、家の中を見て回った。
 いつも鍵がかかってる部屋が元々あって、それを見せてくれるという。
 でも実際見てみると、機密書類があるか、危険な武器や魔導的な物が置いてあるかのどちらかだった。

「これで、この家の中は全部見たかな?」
「くっ……。金持ちが……セレブが……っ!」
 
 あまりに広すぎる家と、豪華すぎる調度品の数々に庶民の嫉妬の炎が燃え上がる。
 単に稼ぎがいいと言う以上に、元々金持ちらしい。
 一方スティーブンさんは、不思議そうに首をかしげる。

「そんなに大したことはないだろう? そんなに広くも無いし平均的な部類だぜ?
 僕の知り合いが入ってる会員制クラブには、もっとすごい奴がいくらでもいるし、クラウスに至っては僕の比じゃない」

 平均的とか! 会員制クラブとか! そういうのサラッと出るとことかっ!! 私は地団駄を踏むのであった。

 ……そういえばクラウスさんも貴族っぽいし『旧知の仲』って、良家のご子息のつながりって奴なのかなー。くそ、滅びろ!

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