第4章 開き直りました
ガチャッと扉が開く。
「どうぞ」
招き入れられ、恐る恐る部屋に入った。
「ここがスティーブンさんのお部屋ですか……」
もっとオサレかと思ってたのに、意外に生活感のあるお部屋だった。
強い珈琲の匂いと、箱買いされた栄養ドリンクが気になるが……。
あと、ここだけはご自分で掃除されてるせいか、隅にホコリがたまってる。掃除したいなあ。
「悪いけどパソコンや機密書類は三重魔術式生体認証キーのついたロッカーの中だ。無理に開けようとすれば、開けようとした奴もろとも爆破するしかけがあるから気をつけて」
「気をつけなくとも、見ようとしたりしませんよ」
「そこが異界の怖さだ。脳を丸ごと抜き取って、記憶を吸い上げ映像化し閲覧する輩もいるんだ。
これは君に万が一のことが起こった場合の『そいつら』への警告さ」
え、エグいなあ……私への遠回しの脅しかもしれんが。
「まだ見るかい?」
「いえ、もういいで――」
そう言おうとして、デスクの上に何か乗ってるのが見えた。
「何ですか、これ?」
普通に置いてあるということは、見てもいいのかな? 好奇心でつい手に取る。今どき珍しいアルバムだ。
「あ、それは――」
スティーブンさんが『ヤバい!』という顔をした。
プライベートに踏み込みすぎたかなと思ったけど、そのときには開いてた。
「な――っ!」
私の写真集……だった……。
それだけなら『んもう、スティーブンさんったら♡』で済むのだが。
ほぼ全て、半裸ないし全裸写真である。
シャワーを浴びてる写真から、ベッドでの事後写真、どこでどうやって撮ったのか一人エッチしてる写真まであるしっ!!
「ハルカ……それは、そのだな……新しいカメラの遠隔操作テストに……」
新しいカメラのテストで、人の裸の写真を撮る必要がどこにある!
しかも遠隔操作って、普通に盗撮だろうっ!!
そういえばこの家、あちこちに監視カメラがあったんだっけ。
居候の身だから、多少監視されるのは仕方ないと思っていたが、盗撮されていたとなれば話は別だ!
スティーブンさんは目をそらしつつ、
「……最近、会えない夜が多かったし……でも寝てる君を叩き起こして相手をさせるなんて、最低だろ?
だからそういうときに『使って』……」
いや盗撮の時点で最低でしょうがっ!!