第4章 開き直りました
「いえ、スティーブンさんのことは分かってるからいいですよ。マフィアのナンバー2なんでしょう?」
すると沈黙があった。
「君、まだそれ信じてたのかい?」
ものっすごい呆れた目で言われた!!
…………
私はスマホを持ち、電話していた。
「秘密結社ですか……」
『その通りです。ライブラは世界に波及する可能性のある危機を回避し、世界の均衡を守ることを目的とした組織で、私はその統括責任者をしております』
スマホの向こうのクラウスさんは真剣で、冗談を言ってるようには思えない。
『スティーブンは旧知の仲で、ライブラ創設時から私をサポートしてくれています。彼ほどに信頼のおける男はいません。私が保証いたします』
「な、なるほど……」
『それとミス・ハルカ。以前、呪いの件でお困りだったようですが、その後、ご容態はいかがでしょう。何か手助けが必要でしたら――』
「いえいえいえ!! 大丈夫ですからっ!! どうもありがとうございます!!」
それから二、三言交わし、電話を切った。
「信じてくれた? 僕がマフィアじゃないって」
ポケットに手ぇ突っ込み、熱々の珈琲を飲む番頭さんが言う。
「いやでも秘密結社の副官って……」
私はまじまじとスティーブンさんを見た。彼は渋い顔だ。
「本当は話したくなかったんだよ。ライブラの情報は闇社会では超高額で取引されている。
まして僕の関係者と知られたら、君の身も危ないんだ」
だから私の仕事や移動を制限して、なるべく家に居させたがったと。
「無意味に縛っていたわけじゃない。分かってくれた?」
私は返答せず、じーっとスティーブンさんを見た。
「ん? まだ危険な男に見えるかな?」
「いやまだマフィアの方が良かったですよ。秘密結社って、うさんくささ3割増しってか――」
「…………」
スティーブンさんが珈琲を置く。
こちらに近づきながら、何やら指をポキポキ鳴らしてた。
わたくし、ハッとし、
「いやウソウソウソ!! 秘密結社って公務員並みに地に足のついたお仕事ですね!!
スティーブンさん、安定感が増しました。キャー素敵ー!!」
「遺言はそれだけかな?」
スティーブンさんはガシッと私の頭をつかむ。
「え。遺言て――いやあああああっ!!」
かくて、薄幸の美少女の哀れな悲鳴が響きましたとさ☆